松田まなぶのビデオレター、第8回は「金融抑圧、銀行の審査能力と金利の悩み」 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 日本経済は袋小路。今回のビデオレターでは、金融の機能を犠牲にして財政再建を図っているのがアベノミクスなのではないか、という論点を取り上げてみました。そもそも日本経済の問題の根っこの一つには、金融がうまく回っていないという現象があります。長年続いたデフレ経済の真の原因は、決して、1997年の消費税増税や公共事業の縮小などではありませんでした。
第8回 「金融抑圧、銀行の審査能力と金利の悩み」チャンネル桜、5月8日放映。

こちら↓をクリックすると、今回の松田まなぶの動画を見ることができます。


 バブルのときに土地担保融資に流れてバンバン貸し込んだ銀行は、本物の審査能力を失っていった。そこで、土地の価格が下がれば、結果としてマネーは収縮することになった。それが不良債権処理の健全化モードのもとで、日本をデフレに陥れた。しかし、今回、アベノミクスで無理やり長期金利の上昇を抑えていると、今度は利ざやが縮小して、銀行が本来のプロとしての審査能力を取り戻してマネーを増やしていく余裕が出てこない。

 しかし、だからと言って、金利が上がると、今度は銀行が持っている多額の国債の価値が下がって、銀行の資産が劣化し、これまた、融資が困難になる。近年の欧州債務危機のように、経済を不況にしてしまう。金融は袋小路です。

 もう一つの袋小路が財政。アベノミクスで景気も物価も上げていくと、金利が上昇する。そうなると、デフレによる異常な低金利で回っていた財政が利払い費負担で回らなくなる。デフレという異常事態のもとで初めて財政が回っていた。こういう財政もかなり異常。

 ブレークスルーは、金利がインフレ率よりも低い状態、つまり、実質金利マイナス状態を演出すること。二度の世界大戦のあとのハイパーインフレのときもそうでしたが、この状態は資本主義の歴史の中では今回で4回目です。この際、力づくで、預金者や国債保有者を低金利状態に押し込めて、彼らから所得を財政に移転して、隠れ増税で財政を回していこう…。もし、それがアベノミクスの本質だとすれば、あまりに刹那的でしょう。

このビデオレターでは、アベノミクスを成功させるために、もっと根本的な袋小路からの脱却策を考えてまいります。