松田まなぶのビデオレター、第3回は「保守の経済政策、アベノミクスとマネーサプライ」。 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

先の総選挙で安倍政権は、アベノミクス継続の是非を争点に据えて、大勝を果たしました。では、その「アベノミクス」とは一体何なのかということになると、識者の間でも見方は分かれますし、まして、一般の有権者に判断せよと言っても、やや無理があったように思います。チャンネル桜での私のビデオレター第3回から、いよいよ、このアベノミクスに切り込んでいくことになりました。

まずは、アベノミクスの「3本の矢」のうちの「第1の矢」である「異次元の金融緩和」。日銀がじゃんじゃんお札を刷っているという言い方がされていますが、実は、そんなことはありません。デフレ克服のためにマネーを増やすことが主眼なのに、肝心の市中のおカネ(マネーサプライ)は、民主党政権時に比べても、そんなに増えているわけではないのです。

増えているのは、日銀のバランスシートの数字。日銀が銀行から国債を買いまくって、日銀の資産が膨らみ、その分、日銀の負債である銀行当座預金が膨らんで、資産と負債がバランスしているだけです。本当はそのおカネ、銀行が企業や個人への貸し付けを増やすことで、初めてマネーは増えますが、銀行は日銀に国債を売って得たおカネを貸付ではなく、日銀の預金口座に預けているわけです。

異次元の金融緩和は3つの「2」という数字に象徴されます。2年程度をめどに、日銀のバランスシートを2倍に膨らませることで、インフレ率を2%まで高める。

黒田日銀総裁が狙っているポイントは、長年デフレが続いた日本経済で、人々の期待インフレ率(1年後に消費者物価が何%上がっているかについての人々の予想)を上げることで、これまでデフレで上がり続けてきたおカネの価値が、その分、下がっていくという予想を生むことです。これによって、実質金利(名目金利から期待インフレ率を引いた数字)を下げ、人々がおカネを借りたり、おカネを支出に回すことを促す。そうなれば、マネーサプライも増えることになります。

ただ、15年もデフレが続いてきたのが日本経済です。日銀がいくら「大胆な金融政策」でインフレ目標を掲げても、現実に2%程度のインフレが続かなければ、人々は将来にわたって2%のインフレが続くと予想するようにはなかなかならないでしょう。やはり、マネーサプライが実際に増えて、物価が上がるということが継続的に起こらねばならないと思いますが、現実には、原油価格が足元で下がることで、金融政策の思惑とは異なる要因で物価上昇が引き下げられるという現象が起こったりしています。

「卵が先か、鶏が先か」ではないですが、現実に起こっているのは、円安株高で始まったアベノミクスの効果が全国津々浦々や庶民の家計までにはなかなか届いていないという現象です。

第3回 「保守の経済政策、アベノミクスとマネーサプライ」2月24日発信
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 やはり、最終需要が力強く拡大していかなければ、マネーは増えていきません。アベノミクスは方向は正しいが、それが本当に効果を発揮するためには、新しい知恵が必要。それが私の立場です。金融政策にも新しい考え方が必要になっていると思います。