2013年11月22日 衆院国土交通委員会
![松田まなぶ(松田学)のブログ-4](https://stat.ameba.jp/user_images/20131124/15/matsuda-manabu/05/46/j/t02200124_0800045012759396548.jpg?caw=800)
[論点1]
今回、国土交通省はJR北海道の経営にまで踏み込んだ監査を行っているが、そこでは、本社において予算編に当たって、安全確保等に関する現場からの要望等が十分に考慮されていなかったことも明らかにされていると聞いている。ここには単なる経営の問題を超えた問題があるのではないか。
「経営者の手腕」や「社員のモラル」を超えた鉄道サービス供給の仕組みの問題がある。そもそも、JR北海道の経営は、会社の経営手腕とは無関係の原因によって窮地に陥っていた。それは、
金利の低下で経営安定基金の運用益が年200数十億円減額となった。
基金運用益:昭和62年度498億円→平成25年度計画217億円と281億円 の減少
)高速道路無料化等により、最悪時は年数十億円の収益減となった。
しかし、国鉄民営化時と比べ、営業損益は当時の▲538億円から、平成25年度計画では▲311億円と、+227億円も改善している。
<JR北海道社長への質問>
営業損益が227億円も改善したことの要因は何か。経営努力として、人員の削減、コストカットが主か。今の事態の背景にあるのは、コストカットによる現場の人手不足が主たる原因か(従業員はかつては2万8千人⇒現在は7千人)ではないか。あるいは、経常利益の水準から十分な安全への投資に制約があるからか。
⇒答弁「営業損益の改善は主として人員の削減などによるコストカット。」
![松田まなぶ(松田学)のブログ-5](https://stat.ameba.jp/user_images/20131124/15/matsuda-manabu/9c/be/j/t02200124_0800045012759396546.jpg?caw=800)
「JR北海道野島誠社長」
<JR北海道社長への質問>
経営安定基金の運用益の悪化に対して国の側でも様々な財政的支援措置を講じてきたが、それでも、JR北海道の経営の安定の上では、相当程度の財源不足という認識か。十分なおカネがないために、安全対策が講じられなかった、もっとおカネがあれば、現在の事態はこの程度防ぐことはできたと説明できる部分はあるのか。確かに、それだけ大規模な人員削減をすれば、おかしなことをする職員をチェックする監督者も確保できなかったかも知れないし、おカネがあればより万全なる安全対策投資ができたという部分はあるのではないか。
⇒答弁:不明瞭。
[論点2]
(国土交通省に対する質問)
公共事業における「北海道特例」が講じられている理由如何。
北海道特例は民間市場原理では供給不足になる準公共財について、国全体の立場から公共目的に照らして国民負担で社会的に適正な供給を確保しようとするもの。
今回の事態は、民間市場原理では、適正な水準の準公共財サービスの供給が困難であることの例証ではないか。適正な水準とは、単に鉄道の整備や運営の量的な水準のみならず、安全性の確保といった質的な水準も含まれる。
![松田まなぶ(松田学)のブログ-6](https://stat.ameba.jp/user_images/20131124/15/matsuda-manabu/7e/7a/j/t02200124_0800045012759397073.jpg?caw=800)
「答弁する坂井学・国土交通政務官」
(国土交通省に対する質問)
有料道路も鉄道も同じ「準公共財」でありながら、片や官が担い北海道に対しては財政特例措置、片や民間が原則ということは、論理的にどのように説明されるのか。
(国土交通省に対する質問)
国鉄を「分割民営化」した際の地域「分割」の論理は何だったのか。北海道は独立採算でも「民営」によって適切な準公共財サービスの提供が可能と判断したのか。
![松田まなぶ(松田学)のブログ-7](https://stat.ameba.jp/user_images/20131124/15/matsuda-manabu/ac/8f/j/t02200124_0800045012759397074.jpg?caw=800)
「答弁する高木毅・国土交通副大臣」
[論点3]
事故が起こるたびに国土交通省が監査を強化することを繰り返すのではなく、また、財源がないからといって国からの支援を繰り返すのでもなく、根本的には、今のJR北海道の仕組みそのもの改革、組み替えが必要なのではないか。
国鉄民営化時に、本州3社には長期債務を負担させ、3島会社には経営安定基金を設けた。その後の低金利により、本州3社は返済金利が、3島会社は経営安定基金運用益が減ることになった。もし仮に、当初想定の7%超を上回る高金利になっていたとしたら、今とは逆に本州3社が低業績、3島会社が好業績となっていた。
これは、金利が下がれば格差をかえって拡大するメカニズムを内包するものであり、そこには持続可能性の上でもともと欠陥があった。これでは地方の自立も逆に阻害してしまう。
(太田国土交通大臣に対する質問)
JR北海道の財源確保について、①当面は経営安定基金を取り崩して安全対策等に充てることに加え、②運賃が安い大都市路線の利用者に負担を求める仕組みの創設(NTTのユニバーサルサービス制度のようなもの)、③JR東日本との経営統合などの抜本改革が考えられないか。
![松田まなぶ(松田学)のブログ-8](https://stat.ameba.jp/user_images/20131124/15/matsuda-manabu/5c/93/j/t02200124_0800045012759397072.jpg?caw=800)
「答弁する太田昭宏・国土交通大臣」
いずれにしても、経営システムの再設計という視点で、この際、輸送の安全の確保に向けた抜本的な組み立てを行ってほしい。