松田まなぶ 平河サロンで小川和久氏の安全保障論 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 10月25日、いよいよNSC(国家安全保障会議)法案の本会議上程、趣旨説明、代表質問がなされたその夜、奥山篤信さんが主宰する平河総合戦略研究所の平河サロンに参加しました。この日は、テレビでもおなじみの小川和久氏(軍事アナリスト)が、「日本の安全保障論議の虚構」と題して講話をしました。

 小川氏は、米国にとってどの国よりも大事なのが日本であるという日米同盟の特殊性に、日本を代表する保守の論客たちも気付いていないことを強調していました。日本以外の米国の同盟国は企業なら支店か営業所なのに対し、日本には本社機能(国防総省最大のオイルターミナル、巨大な弾薬貯蔵能力等々)が置かれており、米国からみれば日本列島への攻撃は米本土への攻撃と同じであるということです。国防において日本が自主独立路線を追求することは財政的にも非現実的であり、むしろ、こうした特殊な日米同盟関係から最大限メリットを引き出すべきだというのが同氏の見方です。

 日本への攻撃が米国の逆鱗に触れることは中国も重々承知しており、尖閣問題でも中国はあくまでそうならない範囲で行動しているのであって、中国の目的は、日本のメディアが騒ぐことが中国国内の世論対策になるということにある。北朝鮮の軍事行動にもルールがある。日本はあまり周辺国の軍事行動に振り回されるべきではない、ということでした。

 奥山氏は、そこまで米国に組み込まれた日本は、自国のことは自国で守るという独立国としての矜持も持てないのか、と、反発していました。私も、世界の中での経済力の相対的地位の低下の中で、現在の国防力を維持していくだけの財政力の問題も生じている米国が「世界の警察官」から撤退している傾向にある中で、小川氏の議論がどこまで成り立つのか、疑問をぶつけました。特にオバマ政権の最近の外交姿勢からは、米国の世界からの撤退傾向が読み取れるとする見方も多いように思えます。そのような中で日本には、安全保障上の独自の役割を強化することが求められており、米国サイドからも、それが不十分であることへの不満の声が聞こえていましたので、小川氏の見方は斬新ながらも、やや違和感があったのは事実です。

 小川氏の答は、米国は仮に世界からは撤退しても、日本だけは守るというものでしたが、それは現場を知る専門家だからこそ知っている一面の真理なのかもしれません。
 NSCについては、それが本当に機能するためには、防衛省や外務省には頼らない独自の諜報機能を、同会議の下に置かれる事務局である「国家安全保障局」が持たねばならないというのが私のかねてからの持論です。その質問に対しては、小川氏からは、「諜報機能といえば、いわゆるヒューミントのような工作部隊のことを思い浮かべる人が多いが、諜報には何層もの機能があるのであって、その中にはシンクタンク的機能もある。いきなり工作部隊を育成することが現実的ではない日本の場合、まずはそこを強化すべきであり、例えば日本の内閣情報調査室のような部署も、それが本当に機能するかどうかは、その『顧客』である総理などのトップが、日頃からいかなる問題意識を持つかにかかっている。」との答でした。
 諜報機能は総理の意識次第…説得力がありました。確かに、政治家自らが国防について、もっと強い意識と戦略的視点を持たなければ真の政治主導は実現しませんし、そのような意味での政治主導なくしては、国家の安全保障は確保されないと思います。

 石原慎太郎代表からは、日本維新の会の議員に対して、国防の現場を本当に分かった人々からの情報に基づいて戦時法制の研究をするようにとの指示が出されています。憲法に非常事態条項がないことも併せ、これも、日本の政治が先送りしてきた日本の課題に向き合う責任政党として、正面から取り組まなければならないテーマです。

 写真は、小川和久氏、奥山さん、当日の参加者の皆さんです。
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