【ニッポン興国論】第19回 経済政策は手順が大事、国力倍増計画で強い経済への道筋を。 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

【第19回】経済政策は手順が大事、国力倍増計画で強い経済への道筋を。

 

前回は、消費増税は単に「社会保障と一体」であるだけでなく、政府投資倍増を含むデフレ克服への経済財政運営の全体的な体系の中で、むしろ「経済政策と税の一体改革」として実施すべきであることを述べました。それは、財政を悪化させることなく、景気をよくすることで、財政規律と経済成長を両立させる「第三の道」です。

前回第18回の記事は、こちら↓をご覧ください。

http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11355591756.html


 政策は何事も手順と道筋が大事です。

国民生活を第一に考えるならば、社会保障を安定させる消費増税は本来、国民の将来不安を軽減して経済に良い影響を与えるはずの政策です。

しかし、将来にわたる経済の道筋が見えていなければ、そのような消費増税ももっぱら目先の負担増をきわだたせてしまい、逆に国民の将来不安を強め、経済にマイナスということになってしまいます。

政治に必要なのは、未来への希望を描くトータルな政策構想力によって、納得感のある国民合意を形成する機能です。その力を今の日本の政治家に求めても無理なのかもしれません。だから、課題解決のできない政治が日本の国力をここまで衰退させてきたわけです。




ここで、「経済政策」と税の一体改革の道筋を簡単に描いてみたいと思います。

 

 第1段階が、2年後の消費増税を決めてしまうことです。野田政権はここまでは到達しました。しかし、欠けていたのは、同時に日本経済の今後の道筋を描く営みでした。将来への不確実性を軽減することこそが、最大の経済政策のはずでした。

消費増税の決定で、少なくとも、「高齢化に伴う社会保障費の増大に財源が食われてしまう結果、ほかのことは何もできない、先進国で最も財源の裏付けのない無為な政府が日本政府」という状態から、2年後に多少なりとも脱却するわけです。

これは「機能する政府」を回復し、ようやく新たな局面に日本が進めることを意味します。

将来への日本の道筋として「国力倍増計画」と「経済力倍増計画」を決定すべきです。



2段階が、実際の消費増税までの1213年度の2年度にわたる期間です。この時点で、「倍増計画」を発動し、前回述べたように、まずは、政府投資を倍増します。そして、耐震・免震構造への民間建設投資も点火させ、おカネの回る経済を構築して、消費税の転嫁がより容易な経済にしておきます。

財政規律の問題に一定のケリをつけた分、将来の経済財政の展望(希望)のもとに、積極財政に向かうわけです。それによる財政悪化は一時的です。

 

 第3段階が、14年度からの消費増税が始まる期間です。

これによって、政府投資倍増に伴う建設国債の発行増加額が、消費増税による新規赤字国債発行の減少分に見合う姿が実現します。この「オペレーション・ツイスト」は、2年前と比べて、国債発行額を変えず、財政を悪化させることなく、増税額13.5兆円ものGDPアップ効果をもたらすものです。

 赤字国債発行の減少で、「凍結金融資産」が解凍に向かい、日本の2,800兆円もの金融資産のポートフォリオが意味ある資産形成へと改善することで、マネー循環が強化されます。

 

 第4段階が、2010年代末に向けて、名目で4%の成長軌道(実質成長率22.5%、インフレ率1.52%)を確固たるものにする期間です。当面は金利が上昇し、国債費の増加で財政は悪化するかもしれませんが、いずれ経済成長による税収増が国債費の増大を上回るようになり、財政は健全化に向かいます。



5段階では、消費税率をさらに56%程度引き上げて10%台半ばにします。その時点では、それまでの「経済力倍増」で消費税率アップを上回る生産性上昇が達成され、消費増税が実質的に負担にならない経済が実現しています。

他方で、この間、日本は元気なリタイア組「団塊の世代」を中心に「活力ある超高齢化社会の運営モデル」の構築へと向かい、日本型共助モデルを実現していきます。これは「官」の負担に頼らない社会保障の領域を拡大させるものです。

加えて、上記の経済政策で高い成長経路が実現していますから、消費税の自然増収も増大しているはずです。

これらによって、高齢化に伴う消費税の必要引上げ幅が低下していることになります。結果として、それ以上の消費増税の必要がない状態を実現することを目指すわけです。

それに成功すれば、ここで消費増税はストップです。

もし、こうした「国力倍増」がなかった場合には、消費税率がいずれ20%台へと上昇することは不可避になるでしょう。


大事なのは、今の避けられない消費増税の是非ではなく、将来の消費増税をできるだけ小さくすることです。そのための戦略をどう構築するかということこそが真の課題であり、国民にとって意味ある選択肢になるものです。

 

 上記の第2~第3段階にかけての5年間に実施すべきなのが、「経済力倍増5ヵ年計画」です。そして、第4段階からは、「未来創造力倍増計画」が続きます。

 次回は、これら「倍増計画」の中身について論じてみたいと思います。


(第17回以前の掲載分も、このブログでぜひ、ご覧ください)