Q&A4372 シロッカー手術をすべきか | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 第二子を15w、16w、18wと3回の中期流産をしました。第一子は40wで無事に出産しております。
最初の流産の原因は感染かな?としか言われておらず、残り2回は絨毛膜羊膜炎でした。最後の流産は流産する数週間前から細菌性膣症の指摘をされていました。最後の流産後に主治医に言われたのですがラクトバチルスが妊娠時より0だったと言われそれが原因ではないかと思い先生のブログをみてヨーグルトを毎日摂取しています。それのおかげもあってか、膣内のラクトバチルスは+2となりました(主治医より2種類のラクトバチルスがいると言われました)。今後、子宮内フローラ、慢性子宮内膜炎の検査をしてから妊活に入ろうと思っていたところ、主治医から次回妊娠時は早期から予防的シロッカー手術を勧められました。子宮頸管無力症ではないが、感染が起こった場合に頸管の長さが保て、抗生剤投与の時間稼ぎができると説明されました。しかしシロッカー手術にも感染リスクがあるため前向きな気持ちになれません。

①自分の中では善玉菌を膣内、子宮内に増やしもし子宮内に炎症があれば治療をしておくことで悪い菌が増える環境をなくしたいと考えていたのですが、予防的シロッカーをすることでせっかく整えた良い環境が出血や結んだ糸で崩れるのではないかと思うのですがどうでしょうか。
②シロッカー手術後、退院するまでに炎症がなければシロッカーによる感染は起こっていないのですか。例えば14週でシロッカーを受け、23週で感染破水をしてしまった場合はそれはシロッカーは関係なく起こった感染なのでしょうか。感染がトラウマすぎて色々と心配事がつきません。主治医にシロッカーに対する不安を伝えましたが、やれることはやりましょうと言われました。

 

A シロッカー手術は「諸刃の刃」ですので、実施に踏み切るには、それなりの根拠と勇気が必要です。主治医は、何もしないで手をこまねいているより、何かした方が良いとお考えのようですが、現状を鑑みるとシロッカー手術はかなりリスキーではないかと思います。

 

①予防的シロッカーをすることで膣内細菌叢が崩れる可能性は低いと思います。
②糸などの異物は、それが存在する限り、感染リスクがあります。したがって、術後時間が経過してからでも感染は起こり得ます。

 

なお、このQ&Aは、約2〜3週間前の質問にお答えしております。