Q&A4299 慢性子宮内膜炎について質問 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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Q 胚盤胞移植を6回、化学流産1回、陰性5回


半年前にTRIO検査を行い、EMMA検査ではラクトバチルス99%、ALICE検査では何も検出せずでした。先日、慢性子宮内膜炎(BCE)検査を行ったところ、CD138陽性細胞は12/20HPFであったため、ビブラマイシンを内服しました。内服後は再検査は不要とのことで今後は移植に臨む予定です。

そこで質問なのですが、EMMA/ALICEで全く問題がなく、今まで内膜症やクラミジアなどの感染歴もなく、稽留流産や子宮内の手術の経験もないのに、CD138陽性細胞が検出されたのは、非細菌性の慢性子宮内膜炎という可能性はありますでしょうか。非細菌性であったら抗生剤を内服しても良くなっていないのではないかと不安になってしまいました。また、例えば慢性子宮内膜炎疑いで、完治していないまま移植しても重度でなければ妊娠出産は可能なのでしょうか。

 

A EMMA/ALICE検査は慢性子宮内膜炎を起こすかもしれない細菌検査であり、慢性子宮内膜炎の診断に必要なCD138細胞を見ていません。また、慢性子宮内膜炎の原因が細菌性なのかそれ以外の要因なのかは不明ですし、そもそもEMMA/ALICE検査ではごく一部の細菌しか検査しておらず、全ての細菌を網羅できていません(全ての細菌を網羅することは事実上不可能です)。したがって、流産や子宮内の手術の経験もない方が、知らないうちに慢性子宮内膜炎に罹患するのことはよくある現象であり、決して不思議なことではありません。現在の慢性子宮内膜炎治療の1stラインはビブラマイシンですので、基本的にはその治療になります。なお、1stラインの治療でも治らない方が一定数おられますので、再検査をお勧めいたします。当院のデータでは、過去に妊娠歴がある方で慢性子宮内膜炎が新たに生じると、全く妊娠しなくなります。

 

なお、このQ&Aは、約2〜3週間前の質問にお答えしております。