☆子宮内膜機能不全リスク(EFR)遺伝子検査 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、反復着床障害(RIF)における子宮内膜機能不全リスク(EFR)の遺伝子検査を開発したという報告です。

 

Fertil Steril 2024; 122: 352(スペイン、イタリア)doi: 10.1016/j.fertnstert.2024.03.015

要約:2018〜2021年2回以上胚移植不成功で、ホルモン補充周期移植を行なう白人女性217名(39.4歳、BMI 22.9)を対象に、着床期の子宮内膜を採取し、404個の遺伝子発現パターンと妊娠成績を前方視的に検討しました。妊娠されなかった方と比べ妊娠された方で遺伝子発現増加および低下が認められた122個の遺伝子を抽出し、人工知能による主成分分析を行うことで、予後良好群(49名)と予後不良群(137名)の2群に分類しました。結果は下記の通り(有意差のみられた項目を赤字表示)。

 

       予後不良群  予後良好群   P値

臨床妊娠率   44.6% <  79.6%   <0.0001

出産率     25.6% <  77.6%   <0.0001

流産率     22.2% >  2.6%    0.007

 

これらの遺伝子発現パターンを子宮内膜機能不全リスク(EFR)と命名しました。EFRは、調節、代謝、免疫応答、炎症 に関与する遺伝子(発現増加59個、発現低下63個)であり、EFR遺伝子検査の正確性は0.92、感度0.96、特異度0.84でした。なお、EFR遺伝子検査は、着床の窓とは独立したものでした。

 

解説:正常胚移植にも関わらず着床しない、真の反復着床障害(RIF)の原因は不明です。どのような遺伝子が関与しているかについては特定されておらず、RIF患者集団の不均一性を反映しているものとされていました。本論文は、ハイスループット遺伝子検査と人工知能の組み合わせにより、RIF患者におけるEFR遺伝子検査を開発したものです。EFR遺伝子検査は着床の窓とは独立したものであり、RIF患者はEFR遺伝子検査異常が有意に多いことを示しています(Hum Reprod 2018; 33: 626)。