Q&A4084 子宮内膜スクラッチについて | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 41歳、妊娠歴なし

 

これまでに2回形態良好胚(採卵時40歳、4AB×2、ホルモン補充周期)を移植して、いずれも着床せず。主治医から子宮内膜スクラッチをすすめられました。残りの胚は1つで4BBです。スクラッチは不妊治療をしている知り合いから痛みが強いと聞いたのと、スクラッチの効果を調べたさまざまな研究を調べた感じではスクラッチの効果は効果がないか限定的という印象を受けたため、することをためらっています。


結局自分たちでは判断できず、セカンドオピニオンを利用しました。受診したクリニックでも、スクラッチは痛いだけで高い効果はない、過去の研究でも否定的な報告が増えてきている、着床するかしないかは内膜の問題よりも胚の状態が良いかどうか(染色体に異常がないかどうか)の方がはるかに重要と言われました。

PGTという選択もあるが、異常と判断された胚でも着床する胚もあり、PGTをするとそれらの胚が移植の選択から外れてしまう可能性があること、年齢的にも異常なしの胚の可能性が低いため移植に適するという結果が出にくくなることから、あなたの場合はこれまでの経緯から形態良好胚が採れているので、あれこれするよりも胚がなくなったら、可能であれば採卵・移植をつづけていくことが一番の近道で、自然周期での移植の方がよいという報告も増えているので、そちらを試すことをすすめられたました。それでもダメなら試してもいい、そのくらいの方法とのことでした。また、これまでに子宮鏡検査をしていないことを伝えたら、スクラッチよりもまずそちらをした方がよいと言われて今回は子宮鏡検査をすることにしました。

先生のブログでもスクラッチについての記事を拝見させていただきましたが、先生はスクラッチの効果があるケースはどのような場合とお考えでしょうか。次回の移植がうまくいかなかった場合は試した方が良いのかどうか、どういう視点で判断すれば良いのか自分たちではよくわからなくなってしまいました。

 

A 子宮内膜スクラッチに限らず、妊娠率を増加させるとされている様々なオプション治療(SEET法、二段階胚移植など)がどのような方に有効で、どのような方に無効なのかは全くわかっていません。ここに記した3つは、先進医療に登録されていますので、ある程度有効性が確認できているものと捉えるべきだと思います。また、スクラッチに関しては、どのような器具を用いるのかによって痛みが全く異なってきますので「痛みが強い」とは一概には言えません。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。