本論文は、体外受精判定日のhCG値と妊娠転帰に関するメタアナリシスです。
F&S Rev 2024; 5: 1(米国)DOI:https://doi.org/10.1016/j.xfnr.2024.01.001
要約:2022年1月までに発表された、ART妊娠(体外受精、顕微授精)のhCG値と妊娠転帰に関する26論文34,220周期を対象に、メタアナリシスを行いました(新鮮胚移植と凍結胚移植を含む)。出産率を予測するための月経周期28日目のhCGカットオフ値は49.2~108.0IU/L(感度71.5~93.7%)で、月経周期31日目のhCGカットオフ値は145.00~411.45IU/L(感度61.2~96.1%)でした。ROC曲線のAUCは月経周期28日目と31日目でそれぞれ0.845と0.718を示しました。
解説:妊娠初期の経過観察にhCG値が用いられます。自然妊娠と比べ体外受精妊娠ではhCG値が低い(ゆっくり上昇する)ことが知られています。また、異常妊娠よりも正常妊娠でhCG値が高いことも知られています。出産と流産を識別するhCGカットオフ値を求める研究が多数報告されていますが、これまでの研究には母集団の不均一性があるため、最適なカットオフ値については合意できていませんでした。本論文は、このような背景のもとに行われたメタアナリシスであり、31日目よりも28日目のhCGを参照するのが良く、そのカットオフ値は49.2~108.0IU/Lであることを示しています。