Q&A3984 初期胚か胚盤胞か | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 一昨年に体外受精を予定していましたが事情により夫の都合が合わず、何もできないよりはと私だけ数回採卵をして卵子凍結しました。確か計15個くらいだったと思います(採卵時は43歳になってすぐの頃)。現在44歳で、近々受精を試みたいのですが、伺いたいことがあります。

高齢だと体外受精でも胚盤胞になりにくく、また高齢だと初期胚2個移植が胚盤胞と同じ確率?だと聞いた気がします(私の住む国では体外受精を行う平均年齢が日本よりも若いからか、初期胚移植はあまり行われていない印象でデータがあまりなさそうです)。であれば少しでもロスのないように最初から受精では初期胚のみで考えるのか(胚盤胞を目指して育たなければ移植事体できないので)、もしくは胚盤胞も目指す方がよいのでしょうか。例えば「全て初期胚でいく」「胚盤胞のみ目指す」、または「胚盤胞を目指すけど、例えば2個くらいは移植できる初期胚を確保する」、など、先生ならどれを提案されますか。移植回数が増えることはかまいません。移植の経験があれば前回の結果を考慮して今回の方向性も考えられると思うのですが、体外受精が初めてで年齢的に自分の卵子を使えるのは最後だと思いますし、また、数も少なく解凍後にどれだけ残るかも分からず。来院時に培養士の方にも相談できたらとは思っているのですが、、、また、すごく初歩的な質問で申し訳ないのですが、受精時には個々の成長具合を見て「おそらくこれは胚盤胞は無理そうだから初期胚で止めよう」「これは胚盤胞までいけそうだな」などがある程度は分かるものなのでしょうか。そうであればその段階でより方向性も決めやすいと思いますが、いかがでしょう。

 

A 卵子凍結の場合の受精方法は顕微授精の一択です(体外受精の場合に必要な顆粒膜細胞を除去しているため)。初期胚か胚盤胞かを決める際には様々な考え方があり一概には言えません。初期胚と胚盤胞を比較すると、胚盤胞の方が妊娠率が良いので、胚盤胞を目指すのが基本ですが、年齢とともに胚盤胞になりにくくなってくるのは事実です。また、培養成績には個人差が非常に大きく、3日目まで良好でも全く胚盤胞にならない方がおられる一方で、3日目まで今ひとつの胚が胚盤胞になることもあります。そこで、リプロダクションクリニックでは、初回の自費採卵の場合には初期胚を1〜2個凍結した上で胚盤胞を目指す作戦をとっています。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。