Q&A3939 38歳、流産3回、化学流産1回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 38歳、流産3回、化学流産1回

 

昨年3月から不妊不育のクリニックを受診していますが、不育症に関していまいち方針がはっきりしないのでリプロダクションクリニックへの受診を考えています。

2019年 子宮内膜多発ポリープ切除
2020年 自然妊娠→胎嚢見えず化学流産
2021年 自然妊娠→心拍確認するも育ちが悪く8週で進行流産 自然排出
2023年6月 自然妊娠→胎嚢見えるも育ち悪くhCGも低いため6週程で流産手術(吸引)+胎児染色体検査→女の子、異常なし
2023年9月 念の為子宮内膜多発ポリープ切除(TCR)

E2、P4→問題なし
甲状腺問題なし
血糖関係問題なし
抗凝固系→抗カルジオリピン抗体IgG 11、2回目<8
NK細胞活性問題なし
25OHビタミンD→20台半ばのためビタミンD3サプリメントで補助し30超えを目指していた
子宮鏡、卵管造影検査→多発性ポリープあり、卵管開口部両側狭窄あり、子宮内膜炎疑い(自然妊娠しており問題ない範囲と)

もともと子宮内膜ポリープが出来やすく、経過観察していましたが結婚を期に1度切除(掻爬なし)し、昨年念の為とのことでもう一度行いました。アスピリン使用した時もありますが全て自然妊娠で、避妊をやめてから全て2周期目で妊娠しています。
今回アスピリンを使用し2周期目、レトロゾール3日開始し4回目の妊娠をしましたが、7週目に確認出来た心拍が8週目に確認できず稽留流産の診断がおり、流産手術(吸引)+胎児絨毛染色体検査の結果待ちです。

化学流産をいれると4度目の流産となり、担当医からは原因不明不育症と診断を受け、流産手術の病理検査と胎児絨毛染色体検査の結果によりアスピリンだけのままか、ヘパリン併用するか、不育症検査を再度するか等を検討していくと言われているのですが、専門医でないからかあまり具体的な話が進みません。セカンドオピニオンや転院も含め、アドバイスやご指摘をお願いします。

①夫婦の染色体検査は、直接的な治療が何も出来ないと担当医から聞ききしなかったのですが、今後検査を検討しています。夫婦染色体検査も含め、追加や再検査した方が良い項目を教えてください。
②これからの治療方針はどのように進めていくのが良いのでしょうか。
③流産手術後、初診でリプロダクションを受診する際は、1回生理が来てから等何か受診期間に目安や決まりはありますか。

 

A 

①夫婦染色体検査は、確かに治療は出来ませんが、情報として確認しておくのは良いと思います。その他の検査項目については、クリニックによって多少異なります。参考までに、リプロダクションクリニックでは、下記の採血を行っています。

*甲状腺(TSH、fT4、TPO)、耐糖能(HOMA-R)、NK活性、ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体IgG IgM、抗PE抗体IgG IgM、抗β2GPI抗体IgG IgM、抗aPS/PT(プロトロンビン)抗体IgG IgM、血液凝固第12因子、プロテインC活性、プロテインS活性、25OHビタミンD、銅、亜鉛
②上記の採血のうち未実施のものを検査し、結果によって治療方針が決まります。なお、検査の用紙に記載されている基準値(正常値)は内科の基準であるため、妊娠を目指す基準値で判断する必要があります。したがって、不育症認定医(専門医)のいる病院での検査をお勧めします。
③不育症検査をする際には、流産後1ヶ月半以降でお越しください。採血の判断基準が非妊娠時採血であり、流産直後は妊娠の影響が残ってしまうためです。