Q&A3894 海外在住、着床の窓と薬の開始時間は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 移植の5日前から始める黄体ホルモンが毎回膣剤のみなのですが、クリニックから時間の指定は無く、以前、着床の窓のお話で松林先生にブログでもご相談させていただきました(2023.10.5「☆Q&A3805 適切な黄体ホルモン開始時期は?」)。先生のアドバイスを参考にさせていただいており、113時間位を次回の周期では採用したいと思っております。

その後、色々な方のブログを読んでいて今更ながら気がついたことがあり、また質問させてください。皆さん、着床の窓を意識されていてクリニックから黄体ホルモン膣剤だけでは無く、注射やルトラール など体内に直接取り込む方法での黄体ホルモンを時間指定で始めておられるみたいです。私の場合はクリニックの指定は400mgの膣坐薬が1日2回のみで、時間の指定は無いです。個人的に最初の膣坐薬を入れるタイミングを約120時間にすることで、1回目(偶然120時間だった)と3回目(2回目の移植の陰性を経て3回目は膣剤の投入時間を120時間に合わせました)は、着床したのかもしれません。

よく考えてみると膣剤だけだと実際には体内に吸収される時間は分からないものですよね。皆さんのように注射や薬の服用を指定時間キッカリに行うのが確実なのだろうとも、思ってしまいました。黄体ホルモンの膣剤だけで着床の窓に合わせることは可能なのでしょうか。膣剤が膣の中から体に黄体ホルモンが開始したと反応に至るまで、どのくらい時間がかかるものなのでしょうか。

私のプロトコルでは移植日に黄体ホルモンの検査をし、少ない場合には黄体ホルモンの注射を毎日打つようにするのですが、それ以前は膣剤のみです。例えば一回だけ黄体ホルモン膣剤の開始時に時間通りに黄体ホルモンを体内に取り込むために注射を打つとか。黄体ホルモンの注射を3日に一度とか前もって用いる治療経過も他の方のブログなどを読んでいるとあるみたいですね。リプロさんですとルトラールを服用されるのでしょうか。海外で治療しているため、ルトラールは使っていないのですが、黄体ホルモンの注射ならばあります。

お世話になっているクリニック的にはこうした細かいことはあまり関係ないと言う感じみたいです。実際に沢山の方がこちらのクリニックで結果を出しているので、とても自信があるようです。でも私は実際には3回も移植して出産に至らないため、色々と考えてしまいます。もちろんPGTをしていない胚なので原因は胚なのかもしれませんし、流産の原因は分かりません。着床の窓も検査していませんが、とりあえず2回着床はしているので大丈夫かと移植を優先的に進めております。

松林先生がよく仰る、成功した時の方法をするのであれば、一応は着床しているので120時間を狙った膣剤投与でも良いのかもしれません…着床さえしていれば、この方法で大丈夫なのか、それともその後の妊娠の経過にもプロゲステロンの投与開始の方法が影響しているものなのかも、気になります。

 

A 膣剤の吸収は想像以上にスピーディーです。経腟、経口、注射など黄体ホルモンの投与経路は現在のところ重要視されていません。どの種類の薬剤を使っても、時間だけが重要です。上手くいった時の方法を踏襲するならば、120時間で移植してみてください。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。