Q&A3886 28歳、4回陰性、どうしたら良いでしょう | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 28歳、移植4回行い、一度も着床したことがありません。

 

自然に生理が来ず、ほっておくと年に一度しかこないため、妊活開始までピルで生理を起こしていました。
26歳から治療を開始し、初め人工授精からスタートしましたが、低刺激で一切卵が育たず3周期連続で人工授精できなかったため、ART治療に進みました。多嚢胞性卵巣患者の様に卵胞がたくさん見えている状態ですが、AMH 3.1で年齢の割には低く、LHとFSH比も正常でPCOSの特徴からは外れています。

採卵は1回目〜4回目までuFSHあすか+ゴナールエフを使いPPOSとアンタゴニスト法で合計1350〜2250単位の刺激をして、それぞれ下記の結果でした。
1回目:5個顕微授精、初期胚1個→移植し陰性
2回目:12個顕微授精、胚盤胞2個(5日目5BC、3BC)→2個移植し陰性
3回目:7個顕微授精、胚盤胞2個(5日目4BCx2)→廃棄
4回目:9個顕微授精、凍結ゼロ

その後転院し、ゴナペン合計600単位刺激で採卵。
5回目:5個顕微授精、胚盤胞2個(6日目4BA、4BC)→2個移植し陰性
同じ病院にて、レコベルをつかい2回採卵。
6回目:3個顕微授精、胚盤胞1個(5日目4AA)→移植し陰性
7回目:3個顕微授精、胚盤胞1個(5日目4BB)→移植待ち

受けられる着床不全検査はEMMA/ALICE以外全部行い、異常なし。ERAで窓ズレもないです。CD138は2022年11月に一度引っかかり治療。その後子宮鏡で異常だったため、再度CD138を2023年5月に受けて0個と完治しています。サプリもイノシトールやメラトニン、レスベラトロール、Lカルニチンなども試しましたが、効果なし。
夫の方はDFI10.78%で、正常形態率が0.5%以外は、異常なしです。

①あと何をすべきでしょうか。保険回数があと2回ですが、PGTAをすべきですか。胚盤胞到達率が悪いため、PGTAに出すのではなくそのまま移植が良いのではないかと言われてます。
②反復着床不全の場合、腹腔鏡手術や、日付診が有効だという先生もお見かけしましたが、どうお考えですか。
③保険を終えた場合、人工授精に戻ることは現実的でしょうか。生理が自然に来ないのと、卵が高刺激でないと育たないがそれでも試す価値はありますでしょうか。
④刺激方法を変えるとしたらどの様な刺激が有効でしょうか。また、ふりかけも試すべきですか。顕微で受精率は5割程度です。

 

A 

①現在の年齢でPGTはお勧めしませんが、正常胚率が低くないことを確認するために、一度PGTをやっておくのはありだと思います(3個程度調べれば良いです)。また、ERAで窓ズレがなくても、ERPeakで窓ズレが確認できることがありますので、ERPeakの実施を推奨します。おそらく実施していないと思われるのは、子宮収縮検査(エコー動画あるいはMRI)、不育検査があります(不足している検査は、リプロダクションクリニックの外来で直接ご相談くださるのが良いと思います)。
②反復着床不全に腹腔鏡手術や日付診が有効だというデータはありません。前者は論文なし、後者は1990年代に否定されています。
③これまでの経緯から、人工授精に戻るのは現実的ではないと思います。
④刺激方法は、採血データと卵胞発育を見ながら微調整するのが良いので、どの様な刺激が良いかは実施してみなければわかりません。また、このような微調整の方法は、保険ではできません。体外受精(ふりかけ法)は一度やってみても良いと思います(体外受精でしか上手くいかない方も顕微授精でしか上手くいかない方もおられます)。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。