嬉しい報告とQ&A3774 第2子に向けて相談 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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Q 2022.7.23「Q&A3366 流産3回、今後の治療方針について」、2,022.8.19「Q&A3393 Q&A3366で回答いただき感謝しています」で回答いただきました。その節はありがとうございました。おかげさまで先日、無事第一子の男児を出産できました。今回2人目の治療に向けて質問があり、再度ご連絡させていただきました。

2022.7.23「Q&A3366 流産3回、今後の治療方針について」後の経過
3回目の流産は16トリソミーで染色体異常だったため、念のため夫婦染色体検査を受け夫婦とも正常を確認して2回目の採卵を行いました。刺激は1回目と変えずに行い5日目 4AAを4個凍結。2回目の採卵で凍結した胚で3回目の移植を行い、不育症対策はバイアスピリンのみを36週まで服用し無事出産に至りました。

2人目の治療について
妊娠〜出産が身体的にかなり辛かった事や1人目との歳の差を考慮して、2人目はできれば3〜4年後の出産を希望しています。現在の貯胚は以下の通りです。
31歳 5日目4AB×1個、6日目4AB×1個
32歳 5日目4AA×3個

①現在33歳ですが、前回お伝えしたように31歳の時点で AMHが0.8でした。過去3回移植して全て妊娠していますが、移植を先延ばしにすると閉経に近づいてホルモン値が乱れ、移植が陰性になる等の悪影響が発生する可能性はありますでしょうか。確実に2人目を希望するのであればできるだけ早く移植した方が良いのでしょうか。また、移植時期を判断するために再度AMHを測定する等、早めに検査をすべき項目はありますでしょうか。
②採卵時31歳5日目4AAで流産した2人、採卵時32歳5日目4AAで出産した1人、3人とも男児でした。エコチル調査によると、10万余名の妊娠初期の女性を対象に、過去に妊娠した子どもの性別と、今回の妊娠での子どもの性別に関連性があるかどうかを調べたところ、今回が第一子だった場合のお子さんの男女比は1.055、第一子が男児だった場合の第二子の二次性比は1.068、反対に女児だった場合は1.039であり、第一子と同じ性別の子どもが生まれる傾向があったことを報告しています。なお、【男男男】の場合は、1.169でした。このため、恐らく残りの胚も男児の可能性が高いと思っています。ただ多少なりとも女児の可能性を高めたい場合、優先順位をつけるとしたらまず6日目4ABになると思いますが、5日目4ABと4AAはどちらが優先になるでしょうか。

 

A 

①ホルモン補充周期での移植であれば、AMHと胚移植の成績に関連はありません(ホルモン補充周期移植は、元々、閉経後の女性に対する治療として始まりました)。自然排卵周期で移植する場合には卵胞が育たなければ話が始まりませんので、この場合はAMHが影響してきます。
②発育が遅い順、細胞が少ない順になりますので、6日目4AB→5日目4AB→5日目4AAの順番になります。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。