Q&A3741 27才、3回移植して一度も着床しません | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2023.2.19「Q&A3577 胚盤胞到達率とグレードが低いです」で相談させていただいたものです。


現在27才ですが、3回移植をして一度も着床しません。
1回目:初期胚グレード2
2回目:5日目胚盤胞3BC+5日目胚盤胞5BCの2個移植
3回目:6日目胚盤胞4BA+6日目胚盤胞4BCの2個移植

①保険での移植が3回残っていますが、この年で一度も着床しない場合、保険でできる治療では限界でしょうか。何もしないと一年に一度かニ年に一度しか生理が来ないのですが、早発卵巣不全に強いクリニックに転院すべきでしょうか。
②以前相談させていただいた際に、刺激周期で注射製剤を変更してみることをお勧めいただきました。いままですべて、uFSHあすか、ゴナールを使い、PPOS法やアンタゴニスト法で採卵してきましたが、松林先生なら他に何を使いますか。刺激法は何が良いでしょうか。
③いまのクリニックの先生に「この歳で一度も着床しないということは、卵の質が悪いから、数をこなす必要があるからその覚悟を持たなくてはならない」といわれました。本当にそうなのでしょうか。他にすべきことはありますか。
④以前相談させていただいた際に、着床の窓の検査をおすすめいただきました。賛否両論ありますが、先生は有効だとお考えですか。

 

A 

①文面だけで判断するのは難しいですが、保険でできる治療では限界があるように思います。転院を検討しても良いでしょう。
②刺激法は何が良いでしょうかという質問にはお答えできません。というのは、採卵周期のエコーと血液検査の値により、その方その周期に合った薬剤を臨機応変に使っていくのが良いと考えるからです。
③卵子の改善策として前回提案した、25OHビタミンD、DHEAS、テストステロンの採血はされましたでしょうか。採血し不足の場合は補充すると卵の数や質の改善が期待できます。20代でこの結果は明らかに不自然なので、必ず理由(原因)があるはずです。前回提案したように、着床障害関連のオプション検査を全て行ってから移植することをお勧めします。
④着床の窓の検査は必ずERPeak検査で行ってください。ERA検査は(最近の論文では)完全に否定されています。賛否両論があるのは、この二つの検査を同じものと捉えているためで、ERPeak検査は極めて有用です。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。