最近読んでよかった本 178 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった本を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

私のブログでは月2回本の紹介をしています。

何故本を紹介しているかについては、2016.9.29「「最近読んでよかった本」の新たな効能?「ニュートラルな気持ち」へ!」をご覧ください。

 

 

「異邦の騎士」島田荘司

目覚めるとベンチの上だった。「俺」は自分が記憶を失っていることに気が付く。すると、若い愛らしい娘が若い男と言い争いをして殴られるシーンに出くわす。娘は俺の胸に飛び込み、男は去って行った。娘は「石川良子」と名乗り、男は彼女のヒモだと言う。彼女はヒモから逃れるため、明日引っ越したいと、俺にトラックの運転と引越しを頼む。元住吉駅近くのアパートに住まいを決め、そこで2人で暮らし始める。俺は「石川敬介」と名乗り菊名の工場で勤め始め、平穏で幸福な毎日が続く。しかし、失われた過去の記憶が浮かび上がると男は戦慄する。愛する妻子を殺した犯人を俺が殺したのか?やっと手にした幸せな生活に忍び寄る悲劇。「占星術殺人事件」「斜め屋敷の犯罪」に続く御手洗潔シリーズの長編3作目なのですが、時系列的には本作が1作目とのこと。とてもお勧めです。

 

 

「吸血鬼の原罪」知念実希人

天久鷹央の事件カルテシリーズ最新作。東久留米市の公園、荒川の河川敷、東京湾の沿岸、三つの場所で見つかった遺体の被害者はいずれも首すじに二つの傷跡があり、ほぼすべての血液が抜き取られていた。まるで吸血鬼が起こしたかのような連続殺人。捜査一課の「桜井公康」「成瀬隆哉」から内々に相談を受けた天才医師「天久鷹央」は、ワトソン役の医師「小鳥遊優」、研修医「鴻ノ池舞」とともに事件の真相解明に動き出す。とても読みやすいので、一気読み必至です。

 

 

「残像」伊岡瞬

浪人生の「堀部一平」は、バイト先で倒れた年配の同僚「葛城」を送り彼のアパート「ひこばえ荘」を訪れた。そこでは「晴子」「夏樹」「多恵」という年代もバラバラな女性3人と、小学生の「冬馬」が奇妙な共同生活を送っていた。4人と親しくなった一平は頻繁にひこばえ荘に赴き、3人の女性にはともに前科があることを知る。一方、衆議院議員の息子「吉井恭一」は、表の顔と裏の顔を持つサイコパス。この二人がどう繋がるのか。吉井のイヤさ加減と葛城の優柔不断の二方向視点で物語が展開し、読む手が止まりません。信頼、裏切り、後悔、敬愛、憎悪、憧れ、友情、希望を全て詰め込んだ 暗い過去へのドタバタ復讐劇です。 お勧めです。

 

 

「でっちあげ」福田ますみ

 2003年、全国で初めて「教師によるいじめ」と認定される体罰事件が福岡で起きた。地元の新聞報道をきっかけに、担当教諭は「史上最悪の殺人教師」と呼ばれ、6ヶ月の停職処分になる。児童側は民事裁判を起こし、舞台は法廷へ。法廷で次第に明らかになる事実はまさに真逆、モンスターペアレンツによる教師イジメだった。こんなことが起こり得る現代社会、メディアの怖さ、集団リンチ的な世論を感じる本書。第六回新潮ドキュメント賞受賞。最初から胸くそ悪い感じがずっと続き、最後は晴れやかになります。ぜひご一読を。

 

 

「リケジョ探偵の謎解きラボ2 彼女の推理と決断」喜多喜久

保険調査会社「懇誠リサーチ」に勤務する「江崎誠彦」と留学帰りの理系女子研究者「友永久理子」は、結婚に向けて準備を進めていた。江崎の仕事は、死亡事故の発生に際し、保険会社から支払われる保険金に関して被保険者側に問題がないか調査報告すること、いわば探偵のような仕事。中には難しい案件もあるが、恋人の久理子は犯人の思考をトレースし、科学の力で事件の謎に迫る。シリーズ第2作です。

第1作は、2019.5.22「最近読んでよかった本 その69」を参照してください。