Q&A3558 第二子を妊娠中、不育治療の相談 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 現在42歳、この度他院で体外受精にて、第二子を妊娠中です。現在13週で、胎児は順調に成長しています。一人目も体外受精で41歳で出産しました。その10ヶ月後に元々凍結してあった胚盤胞を移植して妊娠に至りました。

第一子の妊活時は不育症検査には引っかからず特に薬なしで出産しましたが、今回第二子治療に当たり、移植の2ヶ月前にまずリプロで不育セットで検査をすると以下が引っかかりました。
aPE-IgMキニノーゲン(+) 0.590(<0.45)
第12因子 50%(60%以上)
リプロからはバイアスピリンと16週までのヘパリンと言われました。

その一ヶ月後、セカンドオピニオンのためAクリニックにて不育検査をしましたら以下の結果となりました。
ループスAC(APTT法)78.7(46.5以下)秒
抗PE IgM抗体キニノーゲン+ 0.524(0.450以下)
第12因子 49%
これを受けてAクリニックではバイアスピリンはもちろんのこと、ヘパリンを出産まで継続となりました。

その一ヶ月後、移植して陽性、妊娠5週からヘパリン開始。

妊娠10週で産院の大学病院を受診しましたが、大学病院ではそこで再度血液検査をし、
ループスAC(APT)1.00(1.27以下)
抗PE IgM抗体キニノーゲン+ の結果はもらっていませんが、恐らく正常値
と出ており、来週の診察でヘパリンをやめると診断されそうです。
(10週時の診察で、正常値なら大学病院ではヘパリンは出さないと言われました。)

Aクリニックでは14週までしかヘパリンは出せず、その後は産院で出してもらう方針になっており、Aクリニックからまさか大学病院側で再検査をしてそこでヘパリン処方するかどうかを再判定するとは思わなかったと言われました。Aクリニックの先生は、ヘパリン処方の指標となる検査結果は、あくまで妊娠前の数値で判断し、妊娠後の数値は参考程度で当てにならないと仰っていたので、私としてもここでヘパリンをやめるのは不安に感じます。もし、来週大学病院側でヘパリンは中止すると診断されたら他県の不育専門病院にも行ってみてその先生の判断も聞いてみたいと思っています。このように病院によって見解が違うようなのですが、私のように妊娠前、大きく数値が引っかかっており、妊娠後、再検査で正常値になっていれば、妊娠中でもヘパリンはやめてもいいものでしょうか。

第一子出産後、貧血(ヘモグロビン7台)によって高血圧になり産後8日目に再入院→Dダイマー42.03、BNP144.1となっていたため輸血2パックしました。第一子は経膣分娩です。体質的に血栓もできるリスクがあるのかもと思い、そういう意味でもヘパリンは出産まで続けたいと思っています。

 

A Aクリニックの医師の言うように、不育症検査は妊娠前の数値で判断します。妊娠中は数値が変化してしまうためです。さらに、ループスACは測定法によって誤差はありますが、ヘパリンを使うと大きく変化します。抗PE抗体はヘパリン使用中にやや低下します。検査数値にはこのような変化がありますので、第一子出産後の状況を鑑みると、ヘパリン継続をしておいた方が安心だと思います(なお、不育症の治療方針は絶対的なものではありません)。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。