Q&A3508 44歳、行き詰まっています | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 行き詰まってしまい、どうしてもお伺いしたくてメッセージを送らせていただきました。
40歳→新鮮胚移植→稽留流産

   2ヶ月後凍結胚盤胞移植(ホルモン補充周期)→化学流産
   4ヶ月後、3日目新鮮胚を移植、妊娠→41歳→出産(帝王切開)
42歳〜第2子治療スタート。
 低AMH(0.6)のため、なかなか胚盤胞にならず2個PGTAに出すも全て異常胚。43歳あたりから採卵できる月がほとんどなく、年齢のせいだから仕方がない…と医師に言われる。移植をして陰性だったの月の採卵周期で卵胞が見えて採卵できていることに気付く。相談してプレマリン+ピルを飲むが翌月FHSが爆上がりで、逆効果。
43歳10ヶ月→凍結2日目胚を2個移植して化学流産(hCG 17)
44歳になって、採卵は一度もできず。先月生理3日目の受診でなぜか卵胞が20ミリ近くあるものが2つあり、一か八かで採卵するも空胞。


①先生のブログでFHSを下げるためにエストラーナテープを貼る治療があったと記憶しているのですが、どのようにおこなうのでしょうか。私のようにFHSを下げるためのプレマリン+ピルを飲むとかえってFHSが上がってしまうのはなぜなのでしょうか。医師に質問してもはっきりと回答してもらえません。他にFHSを下げる方法はありますか。
②私の必勝法は新鮮胚移植のようですが、もうそこまで辿り着けません。2日目か3日目胚をこつこつと貯めるしかないと思うのですが、これでよいのでしょうか。また、移植も自然周期が合っているのは分かっているのですが、内膜が自力で厚くならないので、ホルモン補充周期しか選択肢がありません。今年の春の移植はホルモン補充で行い、化学流産だったので、ホルモン補充周期でも合っているといえるのでしょうか。
③仕事が激務のため、転院することも難しく第1子を妊娠できた今の病院を信じて治療するしかない状況です。今、2日目胚を1つ凍結してあります。通院している病院では、2日目の胚2個分で1個のようなものだと言われているので、あと1個は獲得しないと移植に進めそうにありません。1つでも採卵できるためにできることは、何かありますでしょうか。

 

A 

①まず、2015.7.28「☆前胞状卵胞から胞状卵胞までのE2とPの役割」の記事をご覧ください。サルでの検討ですが、前胞状卵胞から胞状卵胞まで、E2は促進的(生存率、発育率)に働きPは抑制的に働くことを示しています。ピルには黄体ホルモンが含まれていますので、FSHを低下させるなら、E2製剤単独が良いです(プレマリン、ジュリナ、エストラーナ、プロギノンなど)。具体的な使用法は、FSH値によって異なります。まずエストラーナを1日1枚隔日で開始してみてください。
②ホルモン補充周期で化学流産が2回ありますので、ホルモン補充周期でも合っていると思います。しかし、hCG値が低いですので、着床の窓の検査を行なってみてください。出産後に着床の窓が変化することがあります。
③採卵に向けた対策として、DHEAS、25OHビタミンD、テストステロン採血を行い、不足分を補充することで改善が期待できます。

 

なお、このQ&Aは、約4週間前の質問にお答えしております。