Q&A3503 43〜44歳、異常胚ばかりです | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 41歳で結婚
 

42歳 

 化学流産 2回

 採卵1回目:アンタゴニスト法、顕微授精9個のうち、6日目胚盤胞2個、胚移植→陰性

 人工授精2回
43歳

 採卵2回目:アンタゴニスト法、顕微授精8個のうち、6日目胚盤胞3個(2個はグレード悪く廃棄)、初期胚で1個凍結、2段階胚移植→陰性
転院
 採卵3回目:低刺激法、ふりかけ法2個のうち、6日目胚盤胞2個→PGT-A(1ヶ所異数性、多数の異数性)
 採卵4回目:低刺激法、ふりかけ法1個のうち、桑実胚で発育停止の為PGT-Aできず
44歳
 採卵5回目:低刺激法、ふりかけ法2個のうち、5日目胚盤胞1個→PGT-A(複数の異数性)
 採卵6回目:低刺激法、ふりかけ法2個のうち、異常受精2個
ERA+EMMA+ALICE 検査:異常なし

①現在は、低刺激法でPGT-Aを行なっていますが、ここ数か月で生理出血量、日数、おりものが、以前より減ってきており、タイムリミットを感じてしまいます。年齢のこともあり、このままの治療法で良いのか、今後どういう方法を試したら良いのか悩んでいます。先生でしたらどのような治療をご提案されますでしょうか。
②これまで3個の胚盤胞でPGT-Aを実施して、いずれも異数性があり胚移植できませんでした。胚盤胞の異数性を無くすためになんか気を付けることや行っておくべきことがあればアドバイス頂きたいです。

 

A 2016.8.9「☆女性の年齢別染色体異常頻度 その2」の記事にあるように、43〜44歳での染色体異常頻度は80%を超えます。単純計算でも5個に1個正常胚がある確率ですので、このまま採卵を続けていくしかないと思います。

①刺激をしてもしなくても卵子の質は変わらないと報告されていますので、(時間短縮のために)刺激周期をお勧めいたします。なお、生理の状態と卵巣の状態は異なりますので、無用な心配はしない方が良いです。
②胚盤胞の異数性を無くす方法は明らかにされていません。できることは、卵子の改善策として、DHEAS、25OH-ビタミンD、テストステロンの採血を行い、不足分を補充すること、刺激の薬剤や方法を変更してみること、男性の精子選別方法を変更してみることです。何が奏功するかはわかりませんので、色々と試してみるのが良いと思います。

 

なお、このQ&Aは、約4週間前の質問にお答えしております。