嬉しい報告とQ&A3502 繰り返す血栓で次回の妊娠を躊躇 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q リプロ東京にはオプション検査でお世話になり、2021年2月に第一子を帝王切開で出産しました。ありがとうございました。そろそろ第二子をと考えているのですが、治療をするべきではないのだろうかと悩んでいます。

私は第一子妊娠前から下肢静脈血栓症があり3回血栓が出来た事がありました。検査をしても血栓症の原因と思われる原因はみつかりません。1回目は卵巣嚢腫の手術をした後少しした頃で、2回目は不妊治療でプラノバールを服用した時に、3回目は原因不明です。

第一子の時は移植時からヘパリン注射とバイアスピリンを服用し、出産後は点滴、ワーファリンで予防し、産後の経過もよく血栓ができる事なく薬の服用を終了したのですが、8ヶ月ほど経った今年の8月に再発しました。ちょうど帰省して長時間の車移動をした後だったので、それが原因かと思われます。

凍結胚が2つ、3日目10分割胚(フラグメント10%)、5日目胚盤胞5ACが残っています。第一子の時と同じ時に採卵したものです。個人的な気持ちとしては第二子を希望しており、移植をしたいと考えていますが、循環器内科の先生に「やめたほうがいい」「本当に死にますよ」と言われています。何ヶ月も悩んでいますが、諦める気になれず、せめてこの二つの胚を移植してからやめたいと思っています。現在42歳でそろそろ年齢的にもどうするか決めなければならないなと感じているのですが、やはり諦めるべきなのでしょうか。

 

A 血栓症のリスク因子の一つに「妊娠」があります。女性ホルモンが極めて高くなること、下肢からの血流が悪くなること、妊娠中の血液凝固タンパクの変化などによるものと考えられます。血栓症は死に至る疾患ですので、妊娠した場合は極めてハイリスク妊娠になります。循環器内科の先生がおっしゃるように、私も今移植するのはやめておいた方が良いと思います。唯一移植できるとしたら、血栓症のイベントがしばらく無くなってからです。受精卵は凍結中に老化することはありませんので、血栓症のリスクが低下した時期まで移植を延期するのが得策だと思います。

 

なお、このQ&Aは、約4週間前の質問にお答えしております。