☆不妊症夫婦から生まれた男児の精液所見は正常 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、不妊症夫婦から生まれた男児の精液所見は正常である(問題がない)ことを示しています。

 

Fertil Steril 2022; 118: 671(デンマーク)doi: 10.1016/j.fertnstert.2022.06.035

Fertil Steril 2022; 118: 679(カナダ)コメント doi: 10.1016/j.fertnstert.2022.07.030

要約:1998〜2000年に生まれた男性1058名の精液を2017〜2019年に検査し、両親がそのお子さんを妊娠するまでに要した期間(TTP=Time To Pregnancy)と妊娠治療の有無をデンマークの国家統計を用いて調査しました(FEPOSスタディ=FEtal Programing Of Semen quolity)。結果は下記の通り(有意差の見られた項目を赤字表示)。

 

精液検査    精液量   精子濃度   総精子数   運動率   正常形態精子率   精巣容積

TTP 0〜5ヶ月  〜     〜      〜      〜       〜       〜

TTP 6〜12ヶ月 -9%     -1%    -10%     5%      7%       -5%

TTP 12ヶ月〜  2%     21%     0%     2%      -13%      1% 

人工授精     8%     4%     9%     9%      6%      -8%

ART治療*    -3%    29%     5%     2%      20%      -5%

予定外の妊娠  12%     -2%     5%     4%      -2%      1%

*ART治療=体外受精+顕微授精+凍結胚移植

 

ホルモン値    FSH   LH   テストステロン   SHBG   E2   free androgen

TTP 0〜5ヶ月   〜    〜      〜      〜     〜      〜

TTP 6〜12ヶ月  -5%   -1%    -2%       2%    9%     -3%

TTP 12ヶ月〜   13%   8%    -3%      -15%   -10%     11% 

人工授精     -6%   5%     5%       1%    8%     -1%

ART治療*    -15%   -5%     4%      -10%   30%     15%

予定外の妊娠   -7%   3%     0%       -1%    5%     4%

*ART治療=体外受精+顕微授精+凍結胚移植

 

解説: