Q&A3346 34歳、治療がうまくいきません | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 34歳、体外受精治療中


・2021年2月採卵1回目→凍結2個(ふりかけ由来7日目6BB、顕微由来6日目6BB)
・2021年3月採卵2回目→凍結8個(ふりかけ由来5日目6AA×2、6BA×1、6BB×2、6日目6BB×1、7日目6BC×1、顕微由来6日目6BA×1)
・2021年4月子宮内膜ポリープ手術
・2021年5月6AA移植1回目(レトロゾールによる自然周期)→BT7 HCG 0.0
・2021年6月チョコレート嚢胞の痛みにより移植キャンセル
・2021年6月着床不全検査1回目→Th1/Th2 11.6、抗カルジオリピンIgG抗体13.0、抗カルジオリピンβ2GP I抗体1.2、ループアンチコアグラント0.9、ビタミンD 28.1
・2021年9月腹腔鏡手術(右6cmチョコレート嚢胞、左1cm子宮繊維種)
・2022年1月チョコレート嚢胞再発(左5cm)
・2022年2月6AA移植2回目(ジュリナ、ル・エストロジェルによるホルモン補充周期)→BT7 HCG 53.9にて陽性判定後BT27にて心拍確認出来ず、3月に自然排出
・2022年4月着床不全検査2回目→Th1/Th2 8.2、抗カルジオリピンIgG抗体12.0、抗カルジオリピンIgM抗体 2.7、ビタミンD 112
・2022年6月ホルモン補充にて移植3回目を予定していたが、子宮内膜ポリープありとの所見により移植キャンセル
・2022年6月ポリープ手術当日、不正出血ありとの所見により手術キャンセル、現在ジュリナとヒスロン服薬にて生理待ち

①移植時に使用するホルモン補充薬はチョコレート嚢胞や子宮内膜ポリープに悪影響を及ぼすものでしょうか。悪影響がある場合は、自然周期による移植に変更しても良いと思われますか。
②2回行った着床不全検査にて、抗カルジオリピンIgG抗体の値が高いです。他の抗リン脂質抗体は正常値のようですが、IgGの値だけでこれが流産した原因、またバファリン・バイアスピリンを飲む判断材料となりますでしょうか。
③肥満ではないですが、総コレステロールの値が229mg/dlと高いです。総コレステロールと抗カルジオリピンIgG抗体は相関しているのでしょうか。相関している場合、私は脂質異常なのでしょうか。また、体質改善(食事、運動)すれば脂質異常は改善する可能性はありますか。

 

A 

①不妊治療と子宮内膜症の治療は両立しません。採卵や移植時に使用するホルモン剤は子宮内膜症(チョコレート嚢胞)悪化のリスクがあります。なお、子宮内膜ポリープのリスク因子は明らかにされていません。自然周期移植への変更は考慮しても良いですが、それでも子宮内膜症悪化のリスクを伴います。
②抗カルジオリピンIgG抗体13.0 12.0で流産になる可能性はあります。バファリン(バイアスピリン)服用のみならずヘパリン注射も考慮して良いと思います。
③コレステロールと抗カルジオリピンIgG抗体の関連は全くありません。家族性の高コレステロール血症の可能性が最も高いと思います。体質改善(食事、運動)では改善しないと思います。

 

なお、このQ&Aは、約4週間前の質問にお答えしております。