Q&A3278 今後の治療について相談 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 43歳2ヶ月、AMH 0.79

 

2020年11月から不妊治療を始め、クロミッド10日間やレトロゾール5日間+フェリング150×6日間などの刺激で採卵しました。この医院では、いつも生理3日目のFSHは20台でした。採卵数の50%くらいが胚盤胞になるもののグレードが良くなく(5DB,5BC,5CD,5BD等)、5CDの新鮮胚盤胞移植で一度妊娠判定が出ましたが、心拍確認後7週で流産となりました。


2021年11月にリプロ東京に転院し、転院後初の採卵はクロミッド+フェリング150の刺激で採卵2個、初期胚凍結1個(5G3)でした。その後、松林先生がレトロゾール+クロミッド+フェリング150(卵胞の数によってさらにゴナール75)での刺激を提案してくださいました。そして、PRP卵巣注入を2022年2月にしています。
2022年2月採卵で、採卵4個、初期胚3個凍結(5G3,4G4,8G2)。

2022年3月採卵で、採卵5個、胚盤胞2個(4BA,4BC)となりました。4BAを新鮮胚盤胞移植をしましたが判定日にhCG 6で、その後hCG値が低下しました。
2022年4月、生理3日目 FSH 24.5, LH 8.4, E2 59.6 P 0.5、卵胞3個で、その時の診察医によれば、このまま採卵周期でとのことで、レトロゾールとクロミッドを処方されました。前医院でFSHが高いと質の良い受精卵にならなかったので、翌日もう一度リプロ東京を受診し、運良く松林先生の診察で、レルミナを処方していただき遅延法で採卵することとなりました。レルミナ服用後、FSH 12, LH 3.5, E2 43, P 0.52、卵胞6個になり刺激を開始したのですが、卵胞の1つだけが突出して育ち(17.9mm,6.8mm,7.2mm)、この周期は人工授精になりました。

①レトロゾール+クロミッド+フェリング150(卵胞の数によってさらにゴナール75)での刺激で、前医院の時に比べ、見違えるような良好胚が取れています。この刺激を何周期も連続していいものでしょうか。たまたまかもしれませんが、2周期連続できましたが、3周期目にホルモン値があまり良くなかったです。休み周期を挟むことは有効でしょうか。
②生理3日目のFSH 24.5の周期の際、当初の担当医は刺激開始で行きましょうとのことでした。その翌日に念のため受診した松林先生の診察で遅延法となりました。リプロの先生はどなたも信頼しているのですが、方針が違ったことが少々気がかりです。FSH 24.5での刺激開始でも、レルミナを服用する遅延法でも、どちらの方針でもありだったのでしょうか。私の肌感覚ではFSHが20台の時は良好胚が取れない気がするのですが、それはたまたまでしょうか。今後、同じような状況の時の判断材料として伺いたいです。
③卵巣PRPの効果かレルミナの効果か、左右計6つ見えていた卵胞がレトロゾール+クロミッドの刺激で、1つだけ突出して育ちました。卵胞の育ちのばらつきを整える手段はありますか。
④周期や加齢の影響で変動すると思いますが、採卵したうち約50%が胚盤胞になります。凍結の際は、初期胚での凍結か、胚盤胞まで育てるか、松林先生なら、どのようにお考えでしょうか。現在、初期胚4つ(5G3,5G3,4G4,8G2)と胚盤胞1つ(4BC)を凍結しています。初期胚、胚盤胞を何個くらい貯卵したら、移植に進むといいでしょうか。
⑤移植について。新鮮胚盤胞移植で、心拍確認(前医院)、判定日のhCG 6(リプロ)でした。前医院では、新鮮初期胚、ホルモン補充での初期胚・胚盤胞移植では全て陰性です。リプロでは他の移植方法をしたことがありません。私の必勝法は新鮮胚盤胞移植と捉えますか。それとも、新鮮胚盤胞で移植するも結局は成長が止まっているので、やったことのない移植方法を探るべきでしょうか。移植に向けたリプロの事前検査は全てやろうと思っています。

 

A 

①採卵周期は、良好な状態が続く限りは連続していただいて構いません。調子が良くない周期は1周期お休みします。

②このような場合は迷うところですが、どちらの方針でもありです。しかし、過去の経験を活かした方が良いので、FSHが20台の時に良好胚が取れないのでしたら、パスしても良いと思います(レルミナ遅延法で卵胞は増えましたが、結果的に採卵には至っていませんから、最初からパスするのもありだったかもしれません)。

卵胞の育ちのばらつきを整える手段は、採卵周期開始前からのピル服用ですが、開始時の卵胞(AFC)が減ることがあり、注意が必要です。
④誰でも年齢(加齢)とともに胚盤胞になりにくくなります。胚盤胞にならなくなった場合には、初期胚凍結に切り替えるのが良いです。43歳でしたら、初期胚と胚盤胞を合わせて10個凍結できてから、移植に進むことをお勧めしています。
⑤新鮮胚盤胞移植で1勝1敗ですから、新鮮胚盤胞移植が必勝法とは言えないと思います。着床の窓は変化することがありますので、着床の窓の検査(ERPeak)を行なってから方針を決めるのが良いでしょう。

 

なお、このQ&Aは、約2週間前の質問にお答えしております。