巨大子宮筋腫に対する小開腹術:ビデオ論文 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、巨大子宮筋腫に対する小開腹術の手順を紹介したビデオ論文です。

 

Fertil Steril 2022; 117: 456(オーストリア)doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.11.018

Fertil Steril 2022; 117: 458(米国)コメント doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.12.004

要約:巨大子宮筋腫直径14x13x11cmタイプ4筋腫=筋層内筋腫)を有する29歳の女性に対して、4cmの横切開による小開腹術を行いました。下図に示す円形の開創器を用いて、切開する子宮筋層にバソプレシンを注入し、直視下にメスを用いて少しずつ筋腫を切除しました。余分な子宮筋層を切除後、子宮筋層を縫合閉鎖しました。腹腔内を洗浄し、癒着防止フィルムを貼付し、腹部を閉創しました。小開腹術は、開腹術と腹腔鏡の中間的な手技で、特別な器具を必要とせず、低価格で、手術時間も短く、術後の回復も早く、傷も目立たないため、発展途上国などでの治療に推奨されます。

 

 

解説:子宮筋腫は極めてポピュラーな良性腫瘍であり、多くの女性に認められます。しかし、手術が必要になるケースはその一部であり、多くの場合には腹腔鏡手術で実施可能です。本症例のような巨大子宮筋腫に腹腔鏡手術を行う場合には、熟練した医師のスキルが必要であり、ロボット手術などの大規模な装置が必要になります。先進国では可能ですが、発展途上国では難しいため、大きな傷による開腹手術になります。本論文は、巨大子宮筋腫に対する小開腹術の手順を紹介したビデオ論文であり、わずか4cmの傷で、直径14cmの筋腫を摘出しています。

 

コメントでは、本症例のような巨大子宮筋腫に腹腔鏡手術を行う場合には、切除した筋腫を砕いて体外に取り出す際のモルセレータの使用が必要であり、現在(FDAからの勧告により)バッグ内でモルセレータを使用するという条件があり、これが厄介であるとしています。