Q&A3191 40歳、AMH 0.10、採卵10回、移植2回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 40歳AMH 0.10-0.42ng/mL、原因不明不妊

39歳から採卵10回、移植2回、凍結胚7個を貯胚中
・A病院
採卵① アンタゴニスト法、採卵2個→体外受精(ふりかけ法)で受精せず
採卵②黄体フィードバック法、採卵3個→顕微授精で胚盤胞3CB×1 
採卵③黄体フィードバック法 採卵2個→顕微授精でD3初期胚9G3×1
・B病院
採卵④黄体フィードバック法、採卵3個→顕微授精でD2初期胚9G3×1、5G3×1
採卵⑤黄体フィードバック法、採卵5個→顕微授精でD2初期胚4G1×1
採卵⑥アンタゴニスト法、採卵4個→顕微授精でD3初期胚8G3×1
・C病院
採卵⑦完全自然周期採卵1個→体外受精(ふりかけ法)で胚盤胞まで育つも、収縮して凍結出来ず
採卵⑧レトロゾール周期、採卵2個→顕微授精でD3初期胚8G2×1
1)自然周期で凍結胚移植し、陰性
採卵⑨レトロゾール周期、採卵3個→顕微授精でD3初期胚8G2×1
採卵⑩レトロゾール周期、採卵1個→顕微授精でD3初期胚8G3×1
2)ドミノ移植で新鮮胚移植し、陰性移植前に慢性子宮内膜炎検査し陰性でした。Th1/Th2=12.7のため、タクロリムスを移植から判定日まで処方されています)


2回陰性だったので、子宮関連の検査をしたところ子宮内膜ポリープが見つかり、子宮鏡下で切除手術予定。ポリープは軽度で陰性の原因かどうかは不明です。C病院の医師からは、次回は胚盤胞を目指して採卵から始めようと言われました。過去にクラミジア感染したことがあるので、卵管に問題があるかも知れず、初期胚だと卵管に行くことがあるためです(過去に卵管造影検査を受けて異常なしでしたが)。これまで胚盤胞までなかなか育たなかったので、同じ病院で同じ治療を続けるべきか悩んでいます。

先生でしたら、次はどんな治療を勧めますか。今後、採卵と移植、どちらを先にした方がいいでしょうか。
②採卵の場合、どのような刺激が良さそうですか。
慢性子宮内膜炎が陰性でも子宮内膜ポリープがあることは、よくあるのでしょうか。また、切除後に慢性子宮内膜炎の検査を、再度した方がいいのでしょうか。
ERA検査、子宮内フローラの検査も検討中です。結果が出るまで2周期かかるので、年齢的には採卵を先に進めたほうがいいでしょうか。
40歳だと、何個ぐらい貯胚して移植を進めるのが良いでしょうか。

 

A 

①妊娠は、移植時の年齢ではなく採卵時の年齢に左右されますので、年齢とAMH値からは、採卵を推奨します。
②○○法とは排卵抑制法を示しているのであり、卵巣刺激の薬剤を示していません。使用した薬剤の名前がわかりませんので、卵巣刺激の薬剤について言及することができません。また、移植したのはC病院だけですので、A病院とB病院での刺激法が良かったかどうかの評価ができません。採卵時の評価ではなく、あくまでも移植の結果を踏まえての評価が重要です。
慢性子宮内膜炎の疑いが強いのは、子宮内膜マイクロポリープです。通常の子宮内膜ポリープは慢性子宮内膜炎との関連はありません。従って、通常の子宮内膜ポリープ切除後に慢性子宮内膜炎の検査をする必要はありません。
④採卵を先行させ、全ての採卵終了後に、ERA検査(あるいはERPeak検査)や子宮内フローラの検査を行うのが良いでしょう。
40歳以上の方では、10個ぐらい貯胚して移植を進めるのが良いと考えられています。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。