Q&A3153 下垂体機能低下症で母乳は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 現在2人目を体外受精にて妊娠中です。高校生の時に尿崩症で下垂体機能低下症が判明し、現在まで内服によりホルモン補充を継続しています(ADHとTSHは感度以下。ACTH、女性ホルモンは少し出ているようです)。


1人目出産の後に母乳が全く出ず(出ても数滴、と言った感じ)、最初からミルクで育てましたが、やはり下垂体機能低下症により母乳分泌のホルモンが出ていないと考えるのが自然でしょうか。せめて初乳だけでも飲ませてあげたいなぁと思うのですが…下垂体機能低下症が原因であれば2人目も母乳育児は難しいと思っておいた方がよいでしょうか。


A 脳下垂体前葉から6種類のホルモン、後葉から2種類のホルモンが分泌されます。

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)

甲状腺刺激ホルモン(TSH)

成長ホルモン(GH)

黄体化ホルモン(LH)

卵胞刺激ホルモン(FSH)

プロラクチン

抗利尿ホルモン(ADH)

オキシトシン

 

下垂体機能低下症とは、下垂体ホルモンの一部または全部が何らかの原因で十分に分泌できない状態です。欠乏したホルモンの種類により、症状は異なります。

 

質問者さんの場合、母乳が出るかどうかは、下垂体機能低下症がプロラクチンを含むのかどうかにかかっていると思います。妊娠中はプロラクチン分泌が増加しますので、まずプロラクチンを採血してみることをお勧めいたします。プロラクチンが全く出ていないのでしたら、残念ですが、今回も母乳は出ません。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。