Q&A3121 hCG 4.7の解釈は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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Q 40代半ば、顕微授精で3年間不妊治療中


過去に、稽留流産1回(判定日のhCG 98)、化学流産1回(お休み周期で妊娠に気がつかず、D30での確認判定でhCG 9.7)を経験しています。それ以外の移植ではhCG 0.0で陰性でした。その後、転院して自然移植周期で初期胚2個(8G1+12G2)を移植した際に初めて、hCG 4.7という微妙な数字が出ました。現在通っているクリニックでの陽性判定はET10でhCG>5.0です。

自然周期移植の際に、排卵トリガーでhCG10000単位を打っていますが、ET10までに15日経過しており、医師からは残留の影響があってもせいぜいhCG 1.0程度と言われました。微妙な数字が出たのが初めてで、以下のことを質問したいです。

①リプロでもhCG<5.0は陰性とのことですが、hCG 4.7は、初期胚のいずれかが孵化して胚盤胞になり着床しかけていた、と考えていいのでしょうか。この数値が、初期胚がちゃんとお腹の中で胚盤胞になったのかどうかのヒントになるのなら知りたいです。
②この微妙なhCG値を踏まえて、医師から着床の窓がズレている可能性がある為、移植日を1日後ろ倒ししてみてもいいかもしれない。もしくは、着床の窓検査も有効かもしれないとアドバイスがありました。判定日のhCG 4.7という数値をもとに、着床の窓がズレているという判断はありえるのでしょうか。1日に後ろにずらす作戦について、松林先生はどう思われますか。

 

A 

hCGは胎盤以外の細胞が作らないホルモンですので、少しでも数値が出ていれば着床していることを示します。hCG10000単位を打ってから15日経過していれば、せいぜいhCG 1.0程度が残りますので、hCG 4.7は着床しています。胚盤胞にならないと着床できませんから、今回の初期胚のどちらかが胚盤胞になっていることを意味します。

②着床の窓がズレている場合には、妊娠反応が全く出ないか少ししか出なくなります。そのような観点から、hCG 4.7は着床の窓がズレている可能性を考慮します。闇雲に1日に後ろにずらすのではなく、着床の窓の検査(ERAあるいはERPeak)をしてから移植することをお勧めいたします。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。