最近読んでよかった本 136 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった本を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

私のブログでは月2回本の紹介をしています。

何故本を紹介しているかについては、2016.9.29「「最近読んでよかった本」の新たな効能?「ニュートラルな気持ち」へ!」をご覧ください。

 

 

「ヴァン・ショウをあなたに」近藤史恵

物語の舞台は、下町の小さなレストラン「ビストロ・パ・マル」。「パ・マル」はフランス語で「悪くない」。変わり者の三舟シェフが作る美味しい料理の数々と名推理で客たちの持ち込む謎を解きます。今回は、フランスで修行当時の三舟シェフが登場。

 

 

「消えた少年」東直己

ススキノ探偵シリーズ第三作。学校では問題児扱いだが、映画が大好きな中学生「中島翔一」と知りあい意気投合した〈俺〉。ところが、翔一の親友が惨殺死体で発見され、一緒にいたはずの翔一も行方不明になる。担任の教師「春子」に翔一の捜索を依頼された〈俺〉はススキノの街を疾走する。翔一はどこにいるのか?ヤクザと教師と〈俺〉が翔一を探す。とてもテンポの良い作品で一気読み必至です。ススキノ探偵シリーズでは、一番の出来ではないかと思います。

 

 

「ゼロの迎撃」安生正

「ハン」大佐が率いる、朝鮮人民軍と中国人民解放軍の精鋭部隊200人が、東京を壊滅させるために立ち上がる「明朝までに東京を壊滅させる」と。活発化した梅雨前線と台風の中、テロ攻撃が始まる。残り時間が迫る中、自衛隊総合情報部所属の情報官「真下」、自衛隊、政府は、様々な情報に翻弄される。果たして、東京を守れるのか。凄まじい死闘に、手に汗を握りながら、一気読み必至です。とても素晴らしい作品です。

 

 

「テミスの求刑」大門剛明

弁護士「黒宮和彦」殺人現場付近で撮られた監視カメラに写ったのは、津地検3席の凄腕検事「田島亮二」が返り血を浴び、凶器を持った画像。田島と黒宮は「平川警察官」殺害事件で法廷で争った経緯がある。平川警察官の娘「平川星利菜」は、田島の事務官を務めていた。田島は黒宮殺しは冤罪であると訴える。田島を弁護する弁護士「深町代言」と田島を起訴しようとする検察官「滝川要」の一騎打ち。星利菜は田島の後任である滝川の部下なのだが、田島を弁護する気持ちが強く、心が大きく揺れ動く。丁度、正義の女神テミスと検察の保身が交錯するように。冤罪をテーマに、裁判は勝った負けたではなく、如何に真実に迫れるかを描いた作品です。法廷ミステリを書かせれば、大門剛明の名前が真っ先に上がります。お見事です。WOWOWでドラマ化されました。

 

 

「臨床真理」柚月裕子

「第7回このミステリーがすごい!」大賞受賞作の本書が、柚月裕子のデビュー作。臨床心理士「佐久間美帆」と共感覚を持つ青年「藤木司」が、失語症の少女「水野彩」の自殺の真相を追う作品。人の声が色に見える司は、彩の死後、殻に閉じこもり孤立していた。司を担当する美帆は、司を救うカギは彩の死因を開明することと気づく。何とかして解明しようと、違法行為スレスレの行為を繰り返す。美帆の同級生で警察官の「栗原」の協力を受け、徐々に真相に向かう。真相が明らかになった時、恐ろしい構図だったことに驚愕します。知的障害者、特殊能力、心の問題をテーマにした素晴らしい作品です。