最近読んでよかった本 その133 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった本を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

私のブログでは月2回本の紹介をしています。

何故本を紹介しているかについては、2016.9.29「「最近読んでよかった本」の新たな効能?「ニュートラルな気持ち」へ!」をご覧ください。

 

 

「一瞬の永遠を、きみと」沖田円

「僕は何度でも、きみに初めての恋をする」の沖田円さんの第2弾です。高1の「夏海」は、夏休みの学校の屋上でひとり命を絶とうとしていた。そこへ不意に現れた見知らぬ少年「朗」。「今ここで死んだつもりで、少しの間だけおまえの命、おれにくれない?」同じ高校の制服を着ているものの、彼が一体何者かもわからぬまま、ふたりは遠い海をめざし、自転車を走らせる。朗と過ごす一瞬一瞬に、夏海は希望を見つけ始め、次第に互いが生きる意味になる。しかし、朗は次第に体温が低下し命を断つ謎の病気にかかっていたのだ。ふたりの運命は如何に?

 

 

「悪寒」伊岡瞬

大手薬品会社に勤務する「藤井賢一」は、会社の不祥事の責任を取らされて、山形の関連会社に飛ばされた。そこでは、支店長から嫌味を言われる毎日。そんな単身赴任中の賢一の心の支えは家族。会社とは半年という出向期間の約束だったのだが、、、ある日、賢一が同僚と飲んでいたところ、東京に暮らす妻「倫子」から「家の中でトラブルが起きました」というメールを受け取る。その数時間後、警察から、倫子が賢一の会社の重役を殺したと知らされる。急遽、東京へ向かった賢一は、妻の裏切りと賢一が憎んでいた上司の殺人疑惑を知る。娘との隔絶、会社への不信、2転3転するストーリー展開が巧みで、人生、夫婦、家族の在り方を問う作品です。

 

 

「久遠の檻」知念実希人

中高校時代にアイドルとして芸能活動をしていた美少女「楯石希津奈」。妄想や幻覚といった精神科的な症状のため、32歳の希津奈は精神科に入院した。しかし、担当医の「墨田淳子」は、希津奈が15年前と全く変わらない姿で現れたことに驚き、統括診断部の「天久鷹央」に診察を依頼する。しかし、鷹央が診察しようとすると、父親が現れ、希津奈を連れて退院してしまう。ミイラ化した遺体を殺した犯人だと主張した希津奈は、断崖絶壁から海に飛び込み自殺する。海で発見された遺体のDNAは、ミイラ化した遺体の爪についていた犯人のDNAと一致し、希津奈であることが判明する。しかし、希津奈は生き返る。美容整形や他人のなりすましと普通は考えるのだが、DNA鑑定の結果、間違いなく希津奈であることがわかる。様々な謎が深まり、最後に2度のどんでん返しがあり、真相が判明します。知念実希人さんは現役の内科医ですが、今回のテーマは産婦人科。すごくマイナーな疾患をトリックに使うため、同じ医師でも真相にはなかなかたどり着けません。

 

 

「さらわれたい女」歌野晶午

荏原代行サービスという便利屋を営む黒田を訪れた美しい人妻「小宮山佐緒理」が突拍子もない依頼をする「私を誘拐してください」と。その理由は夫の愛を確かめるためだと言う。借金だらけの黒田には願っても無いチャンスであり、それに乗っかり、もっと稼ごうと画策する。狂言誘拐はシナリオ通りに進み黒田もニンマリするのだが、翌日身を隠していた佐緒理が殺されているのを見つけ慌てふためく。狂言誘拐の裏には、とんでもない真相が隠されていたのだ。とても面白い作品で、2000年に「カオス」というタイトルで映画化されました。原作は携帯電話のなかった1991年の作品なので、当時の電話を使ったトリックが懐かしさを感じさせます。映画ではもちろん携帯電話を使っています。

 

 

「すずらん通りベルサイユ書房」七尾与史

ミステリ作家を目指す「日比谷研介」は、神保町すずらん通りの「ベルサイユ書房」でアルバイトを始めた。そこは男装の麗人「剣崎瑠璃子」店長、カリスマポップ職人「美月美玲」など、濃いキャラの書店員ばかりが働いていた。穏やかなバイト生活と思っていた研介の前で、次々と不可思議な事件が発生する:連続殺人、毒入り本、レモンの謎など。一風変わった書店ミステリです。