新型コロナウイルスワクチンによる精液所見の低下はない | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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リプロダクションクリニック において、新型コロナウイルスワクチン(ファイザー社製mRNA)接種による精液所見の変化を検討したところ、精液所見に低下は生じないことが示されました。

 

リプロダクションクリニック大阪・東京

要約:2021年5月15日〜2021年9月9日(現在調査継続中)に、ファイザー社製COVID-19 mRNAワクチン(コミナティ筋注)接種を実施する方を対象に、接種前、1回目接種の2週間後、2回目接種の2週間後、2回目接種の4週間後に(禁欲期間を2日間とし)それぞれ2回ずつ精液検査を行いました。精子自動解析装置を用いた一般精液検査およびフローサイトメトリーを用いた精子DNA損傷解析の結果について比較検討を行いました。 新型コロナウイルス罹患の既往のない22歳〜47歳(中央値32歳)の男性ボランティア11名が対象となりました。 本研究期間内における被験者の精液量、精子濃度、精子運動率、運動精子濃度、総運動精子数、運動能(直線速度、曲線速度、頭部振幅、精子運動指数)に有意な低下は認められず、精子DNA損傷に有意な増加(悪化)は認められませんでした。

 

解説:新型コロナウイルス感染の流行下である現在、妊娠することへの不安を感じている方が少なくありません。世界的に流行が抑制されない中、新型コロナウイルワクチンが打開策として期待されています。しかし、ワクチン接種に対する健康や妊孕能への影響を不安視される方も少なくありません。今回、リプロダクションクリニックにおいて、新型コロナウイルスワクチン(ファイザー社製mRNA)接種による精液所見の変化を検討したところ、精液所見に低下は生じないことが示されました。従って、現時点では、新型コロナウイルスワクチンによる男性妊孕能への影響は否定的と考えます。

 

詳細は、下記ホームページからご覧ください。

リプロダクションクリニック 大阪

リプロダクションクリニック 東京