Q&A3045 卵子提供で正常胚を2個移植で流産2回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 海外での卵子提供に進み、正常胚を2個移植x2回(合計4つ)しましたが、2回とも胎嚢確認後流産となりました。グレードもそれなりに良かったです。不育症なども可能な限り調べましたが問題はみつからず、仮に子宮に問題がないと仮定した場合、気になるのは精子になります。夫は表面上の精子の質(数、運動率、奇形率等)は良く、リプロでも「年齢の割に優秀」と言われたこともあります。そのため、長期間にわたり育毛剤(フィナステリド)を服用していましたが、服用をやめるよう強くいうことができませんでした。


先生のブログや、英語でもネット検索しましたが、ヘビースモーカーと同様、育毛剤を長期使用している男性でも、父親になっている方はたくさんいるようですし、男性不妊の場合、自然妊娠を目指すのでなければ、良好精子数が数匹とかでも、出産に至れると認識しています。今度、精子のDNA損傷率テスト(DFIテスト)を受けてもらおうかと思いますが、以下の質問にお答えいただければと思います。


①2回の正常胚流産は精子が原因か。あるいは子宮起因や説明不可能な偶発的な流産の可能性が高いか。
②質問①の答えは、DFIテストの結果次第か。
③仮にDFIテストの結果が悪かったとして、残りの正常胚で今後出産にたどり着く可能性はあるのか。

 

A 卵子提供では、2回以内に出産に至る方がほとんどだと思います。従って、現在明らかにされていない何かしらの要因が隠れているものと推察しますが、それが何か突き止めることは困難です。

 

①フィナステリドによる精子因子、子宮因子、偶発的な流産のいずれの可能性もありますが、どれが高いとは言えません。
②DFIテストが高ければ精子因子の可能性が高いですが、もしそうだとしても他の要因を否定することはできません。
③DFIテストの結果が悪かった場合でも、原因不明の子宮因子などを何らかの方法でクリアできれば、残りの正常胚で出産にたどり着く可能性はあると思います。原因不明不育症の対策を行ってみる価値はあると思います。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。