Q&A2879 私は赤ちゃんを抱くことができるのでしょうか? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 36歳 第二子希望


第一子、33歳、ロング法、新鮮胚移植で出産
第二子、胚盤胞2つ(SEET+4BB)を移植し、胎嚢確認後進行流産と化学流産になりました。

その後リプロに転院し、不育症検査問題なし、慢性子宮内膜炎問題なしです。その他血液検査で低ビタミンD、低DHEASありサプリ継続内服していました。アンタゴニスト法で2回採卵し、1回目は空胞ばかりで6日目4BAのみ、2回目は採卵2日前の注射を変え、5日目4ABが2つとG2でした。移植はSEET法+ヘパリン併用で6日目4BAが化学流産、その後G2が融解時にだめになってしまい、シート法+ヘパリン併用で5日目4AB2個移植しましたが、胎嚢確認後の流産になりました。流産胎児(絨毛)染色体検査は正常でした。なお、子宮収縮検査も行なっており、ダクチルも内服しております。

①凍結胚が融解時に1つダメになってしまったことを踏まえたら、私の卵は凍結に弱いのでしょうか。
②移植したら着床はするのですが、着床の窓の検査はするべきでしょうか。
③移植したら着床しますが、新鮮胚移植じゃないと出産できないのでしょうか。
④もう余剰胚がなく次は採卵からになります。次の一手を教えていただけますでしょうか。


流産胎児(絨毛)染色体検査が正常で、今後どうしていいか分からず落ち込んでます。自分のせいで今までの何人の子供を犠牲にしたのかと思うと。担当医からは何度も流産を繰り返していることからPGT-Aも勧められました。また免疫異常の可能性もあり、移植後もプレドニンの内服の継続、もしくはIVIGはどうか、と提案していただきました。先生、私はまた赤ちゃんを抱くことができる可能性はあるのでしょうか。率直に教えてほしいです。。そして、もしできるとすればどうすればいいでしょうか。私の場合PGT-Aをすべきなのでしょうか。万全を期すならPGT-Aをしてヘパリン、バイアスピリン、プレドニン、IVIG なのでしょうか。必要なもの不必要なものはどれなんでしょうか。自分なりに考えて、無駄のない最短経路は何回か採卵して最後の採卵で新鮮胚移植(必要ないですか?)して、ダメならPGT-Aした正常胚を返す、とかなのかなぁ?と考えてます。PGT-Aする必要がないなら2個ずつ返していこうと思ってます。

 

A 今回の流産胎児(絨毛)染色体検査が正常でしたので、PGT-Aは不要だと思います。つまり、正常な受精卵を育てられない(=不育症)ということになります。このような場合には、原因不明不育症になります。原因不明不育症は文字通り原因不明ですから、一般的には対策のしようがありません。しかし、このような方に、プレドニン、IVIG 、ピシバニールが有効であることがあり、リプロではこれらの治療を実施しています。しかし、どれが最も有効かどうかはわかっていません(個人差があります)。

①凍結胚が融解時に全てダメになってしまうようでしたら、凍結に弱いと言えますが、たった1回だけではそうとは断定できません。
②着床しない方や化学流産の方は着床の窓の検査の意義がありますが、しっかり着床して流産の場合は着床の窓の検査の意義はありません。
③新鮮胚移植で出産していますので、一度実施してみる価値はあると思います。
④新鮮胚移植をしつつ凍結胚を確保し、原因不明不育症の対策を行うのが良いでしょうプレドニン、IVIG 、ピシバニールのどれを選択するのがベストかは不明ですので、ご希望次第です。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。