Q&A2795 採卵30回、移植20回(合計37個) | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 38歳から不妊治療を始め、現在44歳。

 

リプロを含め3つのクリニックで30回採卵、20回移植(移植胚合計37個)をしましたが、出産には至りませんでした(流産2回)。この間、採れた卵は99個。すべて質の悪い卵だったと諦めるしかないのでしょうか。ちなみに貴院で勧められた検査はすべて受け、着床には問題ないと言われました。なかなか胚盤胞に育たず、廃棄となってしまった胚が多かったです。

 

A かなり厳しい状況であることは間違いないと思います。なかなか胚盤胞に育たない場合には、初期全胚凍結で複数胚移植に方針を変更すると上手くいくことがあります。当院では、45歳以上の方が常時100名程度通院されていますが、その中で3〜5名が毎月出産されています。これらの方の多くは胚盤胞移植ではなく、初期胚の複数移植です。なかなか胚盤胞に育たない場合は、卵や精子の質が良くない可能性もありますが、体外の環境に弱い可能性もあります。従って、すべて質の悪い卵だったと決めつけることはできません。移植しなければ可能性はゼロですので、初期胚で全て凍結し複数胚移植をトライしてみる価値はあると思います。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。