Q&A2788 42歳、第2子希望 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 42歳、第2子希望

 

6年前に自然妊娠第1子出産

第2子治療、人工授精6回不成功、40歳から体外受精開始(胚盤胞4個)

1回目6AA新鮮胚→化学流産

2回目5AB自然周期→化学流産

3回目4ABホルモン補充周期→化学流産

4回目4ACホルモン補充周期→陰性(子宮内フローラ治療後)
 
ビタミンD12(4回目移植前からサプリ飲用)

ERA着床の窓のズレなし

ALICE検査、ラクトバチルス0%、ガードネレラ77%(4回目移植前に治療、再検査なし)

血小板凝集能0/+2、プロテインS活性74%、プロテインC活性126%

その他免疫関連検査異常なし、NK細胞活性12

リプロに転院
BCE検査陰性、ビタミンD25、銅亜鉛検査(176、80)、子宮鏡異常なし、子宮収縮検査異常なし
5個採卵、5日目4AB、6日目4AB、6日目3AB、3日目8G1凍結

ビタミンDと銅亜鉛が基準値になってから、5日目4ABをホルモン補充周期+SEET法で移植→化学流産

残りの移植(6日目4AB、6日目3AB、3日目8G1)が終われば不妊治療も終了しなければならず、このまま移植してもまた化学流産を繰り返すのではと不安です。
①次回移植方法についてアドバイス(どの受精卵、移植時追加オプション、ホルモン補充or自然周期など)をいただけますでしょうか。2段階移植が良いのかな、と思っていますがその場合の組み合わせはどちらが良いでしょうか。初期胚+4ABで失敗したら最後は捨て駒的な感じになるようでもったいない気がしています。初期胚+3ABにした方が可能性が高いのか迷っています。
②私の必勝法と考えると自然妊娠出産経験があるので自然周期での移植が良いでしょうか。1度だけ自然周期で移植し化学流産しています。
③いつも移植後7日目で出血が始まり判定日の12日目前後にはhCG 10〜18程度です。陰性時は出血しませんでした。化学流産ばかり繰り返す場合に疑わしい原因はありますか。判定日までに血液検査や薬などでできることはないでしょうか。

④免疫グロブリン、ヘパリン注射、プレドニン投与、タクスロム?などが反復不成功の方に効果的と拝見しますが免疫関連の数値に異常がない私でも効果は期待できますか。
⑤不育症検査で、ループスアンチコアグラント、抗PE IgG、抗PE IgM というのが空白になっていて検査していないようですが検査しなくて良いものなのでしょうか。

 

A 

①②第1子出産は6年前ですので、その後の妊娠経過から必勝法が変化した可能性もありますが、自然周期での移植を試みる価値はあるでしょう。従って、まず自然周期で6日目4AB移植、次に8G1+3AB移植が良いでしょう。いずれも追加オプションなしですが、④あるいは⑤の対策を実施して移植します。
③陰性時には起きず、化学流産の際に移植後7日目で出血が始まるのは、何かのサインだと思います。血液検査でできることはありませんが、④の原因不明不育症の対策をとることで上手くいく場合があります。

④免疫グロブリン、プレドニン、ピシバニールは原因不明不育症の対策になります(免疫関連の数値に異常がない方が対象)。タクスロムの有効性は不明です。⑤で異常値の場合はヘパリン注射になります。
⑤もしこれらの検査が未実施でしたら、ぜひ検査をして対策を立てることをお勧めいたします。引っかかった場合には、ヘパリン注射の選択肢が浮上します。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。