Q&A2638 第二子苦戦中です | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 第二子治療中。第一子はクロミッド+タイミング法で妊娠。

30歳(1年前):AMH 1.45、プロラクチン 16.7、FSH 7.8、E2 <10、TSH 2.56
採卵①アンタゴニスト法:フォルリモン225×4日、HMG225×4日、ガニレスト2日間、切り替え前日のE2 256(クリニック休診の都合で前日)、トリガー:リュークリン+HCG5000、採卵数:5、成熟卵:3、未熟卵:1、変性卵:1、ふりかけで2つ受精、新鮮胚移植:2日目4分割グレード2、黄体補充:ワンクリノン14日間→妊娠するも胎嚢のみしか見えず稽留流産、7週で吸引手術。残り2つの受精卵は追加培養ましたが胚盤胞に到達せず。
採卵②前周期10日間プラノバール内服、アンタゴニスト法:フォリルモン225×4日間、HMG225×4、150×1(自己都合による採卵日調整の為最終日150)、ガニレスト3日間、切替前日のE2:600、トリガー:リュークリン+HCG5000、採卵数:6、すべて成熟卵、ふりかけですべて受精、新鮮胚移植:3日目グレード4(分割数不明)、黄体補充:ワンクリノン、ワンクリノン使用中にET12で生理開始。残りの受精卵は追加培養しましたが胚盤胞到達せず。
採卵③前周期カウフマン(プレマリン、プロベラ)、お休み期間クロミッドを使用していたため卵巣を休めたい思いで自分で提案しましたが、体感としてはおそらく排卵してしまっています。刺激5日目のエコーで、主席卵胞14mm、他が7mmと差が大きく開いてしまい中止。刺激5日目(周期7日目)にして内膜10mmもありました。

①私のホルモンの基礎値だと刺激薬剤はフォリルモンよりもHMGのほうがよいのではと考えるのですが、先生ならどの薬剤を何単位で使用しますか。理由も併せて教えていただけるとありがたいです。
②採卵②の1週間まえに夫が2日間ほど発熱しました。胚の発生とグレードの影響がでてしまったのでしょうか。また黄体補充最中に生理が来てしまいましたが、フライングの検査薬は出血当日までうっすら反応していました。普段HCG注射は10日ほどで反応しなくなるので化学流産だったのではと思うのではいかがですか。
③採卵③がこのような結果になってしまったのはカウフマンの影響でしょうか。周期7日目の内膜が10ミリもあったのもその影響ですか。
④採卵前のE2が卵胞の数に対していつも低値です。同じような方のブログを時々見かけますが、どの方も結果がよろしくないように思います。E2が上がらないのはなぜでしょうか。上がってくるまで刺激を続けるべきですか。一般妊娠治療でも、卵胞がいい大きさになってもなかなかLHサージが起きません。
⑤胚盤胞に到達しません。初期胚で凍結するのはあまりよろしくないでしょうか。夫の精液検査の結果も悪いのですが、ふりかけで受精している場合は顕微は不要すか。
⑥ミオイノシトールを飲み始める予定です。次回も新鮮胚移植になると思いますが、いつまで飲んでもよいですか。

 

A この文面の情報だけで判断しますので、間違いがある可能性がありますことをご了承ください。

AMH 1.45でしたら、私なら(私とリプロの経験から)、クロミッド1T+富士150+フェリング150を用います。もっとも、毎周期ホルモンバランスは異なりますので、周期毎に再評価した上で刺激薬剤を選択しています。

②男性の発熱は、単に精子の状態だけでなく、その後の胚の発生とグレードへの影響が出る可能性があります。おそらく化学流産だったと思います。
③カウフマン(プレマリン、プロベラ)の影響の可能性は否定できませんが、周期による違いだとしても説明がつきます。何とも言えません。
④採卵前のE2が卵胞の数に対していつも低値の理由はわかりません。E2が上がってくるまで刺激を続けるパターンも一度試してみる価値はあるでしょう。
⑤なかなか胚盤胞にならない方は、初期胚で勝負するしかありませんし、初期胚で十分成果が出ます。ふりかけ法(cIVF)と顕微授精(ICSI)は単に受精率の観点だけでなく、胚発生の観点からも評価する必要があります(cIVF>ICSI、cIVF=ICSI、cIVF<ICSIいずれの可能性もあります)。従って、一度顕微授精(ICSI)を実施する価値はあると考えます。
⑥ミオイノシトールはビタミンB群の一種ですので、採卵周期だけでなく、移植周期や妊娠中にも服用して差し支えありません。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。