Q&A2579 PGT-Aの性染色体異常について | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 顕微授精で妊娠、10週で胎児心拍が停止し、絨毛染色体検査の結果、45,Xでした。これまで3回の採卵、10回程の胚盤胞移植をし、今回は2度目の胎児心拍確認後の流産です。これ以上の流産は耐え難いので、改めて採卵、PGT-A検査をお願いすることにしました。検査前の説明で「性染色体についての情報は開示されない」ということを知りました。先生の説明では「ターナー症候群は生存可能であるから」ということでした。ただ、インターネットで調べてみると、ターナー症候群は99%が自然流産に至るという記載があります。そこで疑問なのですが、PGT-Aの検査結果は、流産の可能性が高い性染色体異常胚も「移植可能胚」として返ってくるのでしょうか。だとすれば、折角PGT-A検査をしても今回と同じ45,Xを移植する可能性があリ、99%流産(情報が正しければ)することになり、流産を減らす目的をもつPGT-A検査の意味がなくなります。また、21トリソミーも十分長期生存が可能ですが、それについては情報開示されるということで、矛盾を感じます。

 

A PGT-Aの検査結果は全ての染色体について、トリソミー、モノソミー、モザイク、正常の4つの結果が判明します。性染色体もその例外ではなく、性別の開示が困難な場合でもXYの明記を避けつつ、トリソミー、モノソミー、モザイク、正常の4つの結果の報告は可能です。従って「性染色体についての情報は開示されない」場合でも性染色体の異常の有無は情報として開示されるべきだと考えます。ただし、現在の日本ではPGT-Aは認可された施設でしか実施できないことになっていますので、認可されていない施設では独自のルールで運用されている可能性は否定できません。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。