最近読んでよかった本その64 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった3冊を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

 

「月光」誉田哲也

誰からも愛され、綺麗で大好きだった姉「野々村涼子」が、同級生「菅井清彦」の運転するバイクに轢かれ死んだ。警察では事故死とされていたのだが、殺人を疑う妹「野々村結花」は、真相を探るべく同じ高校に入学する。しだいに姉の過去と、残酷な真実が明らかになり、結花は戸惑う。「知らない方が幸せだなこともある」と。ピアノソナタ「月光」をバックに描かれた前半部分には読むもおぞましい性描写があり、後半部分では徐々に謎が解けていく。賛否両論が分かれる作品です。

 

 

「父からの手紙」小杉健治

10年前に突然父が失踪し結婚間近の阿久津麻美子。殺人罪で逮捕され、9年間の服役後に出所した秋山圭一。何のつながりもない2人の主人公のお話が交互に書かれた前半。麻美子のフィアンセは殺害され、弟が逮捕され、母親はノイローゼになり入院してしまう。麻美子と弟には毎年誕生日に父から手紙が届くのだが、一体父はどこにいて、どういう暮らしをしているのかは全くわからない。麻美子は弟の無実を晴らすために父親探しに奔走する。一方の圭一は、兄「秋山和夫」の焼身自殺の瞬間を兄嫁「秋山みどり」とともに見届けた後、兄嫁の不可解な行動に疑問を持つ。同時に一人の刑事「犬塚義明」も兄嫁に着目していた。2つのストーリーは別々に進行していくが、最後は1つになり、衝撃的な真相が明らかになる。巧妙な伏線が全て見事に回収されるのはお見事。2006年の作品ですが、グランフロント大阪「紀伊国屋」書店員絶賛かつ長期のベストセラーであるのが頷ける作品です。

 

 

「天使は奇跡を希う」七月隆文

ミリオンセラー「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の著者「七月隆文」の作品。舞台は瀬戸内海沿いの愛媛県今治市。高校一年生「新海良史(しんかいよしふみ)」のクラスに、二学期から可愛い転校生「星月優花(ほづきゆうか)」がやって来た。他のヒトには見えないが、優花には天使の羽がある。優花は天国から落ちて帰れなくなってしまったという。良史は何とかしてあげたいと優花に協力する。幼馴染の「村上成美(むらかみなるみ)」と「越智健吾(おちけんご)」にも何故か優花の天使の羽が見えることがわかり、4人は一致団結して優花を天国に帰そうとする。しかし、優花の本当の目的は別のところにあったのだ。期限はわずか30日、この間にあることを成し遂げないと、彼女の人生が大きく狂ってしまう。物語の後半はタイムリミットへ向けて優花を応援することになる。果たして間に合うのか。最後まで手に汗握り、ハラハラドキドキします。

余談ですが、愛媛県今治市にあるJFLのFC今治は、今年からリプロがオフィシャルパートナーになったチーム。先日、FC今治の社長さんの話を聞き深く感銘したところです。FC今治の監督はかつて日本代表監督を務めた岡田武史さん。なかなか面白いチームで、応援のしがいがあります。今年こそ必ずJ3に昇格してくれると思います。