本論文は、子宮筋腫治療における子宮温存方法の比較についてのメタアナリシスです。
Fertil Steril 2018; 109: 698(オランダ)doi: 10.1016/j.fertnstert.2017.11.033
Fertil Steril 2018; 109: 620(米国)コメント doi: 10.1016/j.fertnstert.2018.01.017
要約:子宮筋腫治療における子宮温存方法について、85論文17,789名をメタアナリシスで解析しました。それぞれの術後5年以内に再度の処置が必要になったのは少ない順に、子宮鏡手術7%、子宮筋腫核出術12.2%、子宮動脈塞栓術(UAE)14.4%、MRガイド下集束超音波手術(HIFU=FUS)53.9%となりました(HIFUのみ有意に増加)。なお、子宮動脈結紮術、腹腔鏡下ラジオ波凝固療法(RFA)については、5年間の追跡期間を設けた調査は発表されていませんでした。QOLとしては、すべての治療で症状の改善が認められましたが、HIFUが最も満足度が低いものでした。
解説:子宮筋腫は、生殖年齢の女性の20〜40%に見られる良性疾患です。子宮筋腫核出術が従来行われていましたが、近年の医療技術の進歩により、様々な別の方法が登場しています。これらの有用性については賛否両論があり一致した見解は得られていませんでした。本論文は、子宮筋腫治療における子宮温存方法の比較をメタアナリシスにより実施したもので、再発防止には手術による摘出が最も優れていることを示しています。この結論は、当たり前といえば当たり前ですが、コメントでは「外科医は新し物好きなので、新しいデバイスや手技が登場すると使ってみたくなる性分である」と述べています。確かにその通りだと思いますが、少なくとも現状ではHIFUは避けるべきでしょう。
下記の記事を参照してください。
2016.4.20「FUSによる子宮筋腫治療の効果」
2013.9.30「☆子宮筋腫と妊娠」