ビタミンD不足と不妊の関係 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、ビタミンD不足と不妊の関係を調査したものです。

 

Am J Reprod Immunol 2017; 78: e12733(イタリア)doi: 10.1111/aji.12733

要約:妊娠歴のない不妊症の方70名、不妊でない不育症の方105名、対照群250名を対象に、25-OHビタミンD濃度の横断調査を行いました。不妊症の方は、不妊でない不育症の方および対照群と比べ25-OHビタミンD濃度が有意に低下していました。また、不妊症の方は、不妊でない不育症の方と比べ自己免疫疾患が有意に増加していました。ロジスティック回帰分析によると、自己免疫疾患は不妊症のリスクを2.2倍に増加させ、ビタミンDは不妊症のリスクを0.9倍に有意に減少させました。

 

解説:ビタミンDは免疫調節因子として働くこと、自己免疫疾患ではビタミンD濃度が低下していることが知られています。また、妊娠中のビタミンD濃度の低下は、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、胎児発育遅延などの合併症のリスクが増加します。本論文は、不妊症の方でビタミンD濃度の低下と自己免疫疾患の増加が見られることを示しています。ビタミンDは妊娠と密接な関連がありますので、妊娠を目指す全ての女性での検査を推奨します。

 

下記の記事を参照してください。

2017.8.20「健康な女性におけるビタミンDと妊娠の関係

2017.8.18「ビタミンDの効能:妊娠免疫の観点から

2017.3.20「ビタミンD製剤は、不育症治療に有用?

2016.12.5「☆不育症とビタミンDの関係

2016.12.4「☆ビタミンD製剤はいつ服用すればよいか

2016.3.31「妊娠中のビタミンD大量投与

2014.3.17「☆ビタミンD欠乏は不育症のリスク因子です

2012.12.10「ビタミンDの効用 妊娠•授乳編