Q&A1722 TESEは異常胚が多い? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 30代前半

TESEで採取した精子による顕微授精で2回の採卵と3回の移植をしました。初回と2回目は良好胚G2と7cellG1を移植しました。着床反応はあったものの陰性。
その後、不育症検査、子宮エコー動画検査、子宮内膜炎検査、亜鉛、ビタミンDの検査をして何個か引っ掛かりそれを踏まえて3回目望みました。移植胚は6日目の3BCでした。シート法をしたにも関わらず今度は着床すらしませんでした。
後残ってるのは6日目の3CCと3AAです。精巣内からの顕微授精は異常胚が多くなる傾向にあるとの事で、異常胚かどうかを検査することについてメリットがあるとお考えでしょうか。夫の回収した運動精子本数が残り少なく、また採卵と思うとどうしていいかわからなりそれが全て異常胚だったらと思うと怖くなりました。
1回目と2回目は私の方に原因があって上手く行かなかったのもあると思うので、一概に異常胚とは言い切れないと思います。残りの胚は確率が低いとの事でしたが2個戻しでその胚を信じて再度移植するのか、それとも採卵し異常胚かどうか検査をするのか、どちらが良いでしょうか。先生のブログを拝見させて頂くと、グレード低い胚でも胚を信じてもいいのかなとも思いました。
 
A 私なら、もう一度胚移植をお勧めします。確かに初回と2回目は女性側の要因がクリアされていませんので、それによる陰性の可能性があります。3回目は、胚の因子かもしれません。1個移植ではダメで、2個移植でしか上手くいかない方もおられますので、是非2個移植でトライしたいと思います。
精巣内からの顕微授精は異常胚が多くなる傾向にあると考えられていましたが、最新の論文では、男性因子があっても、ひとたび胚盤胞になってしまえば正常率(異常率)は他の方と変わりません。したがって、この場合に異常かどうかを検査するメリットはあまりないのではないかと思います。
 
下記の記事を参照してください。
 
なお、このQ&Aは、約4〜5ヶ月前の質問にお答えしております。