Q&A1442 ヘパリンが必要ですか? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 先日不育症の検査結果がでて、バイアスピリンの服用が決定しました。しかしそこの病院は県外のため地元の総合病院を紹介してもらい受診した所、その結果を見てそこの先生からはヘパリンも必要との事でした。後期までバイアスピリン&ヘパリン治療をして、辞めて1週間は管理入院との事でした。もちろん先生によって数値の微妙な値などで違う治療になる事はあると思います。ヘパリンも必要であれば頑張るつもりなのですが、高額になるし主人からは本当にヘパリンも必要なのか?と言われています。2人の先生のことも信頼はしているのですが、先生達の意見が違うのでなかなか治療に踏み切れません。先生の意見も聞かせて頂けると嬉しいです。
数値で引っかかった項目です。
第12因子 45
アンチトロンビンIII 74
プロテインC 73
プロテインS活性 59
プロテインS抗原 73
カルジオリピンIgM 7未満
aPS/PT IgM 68.4
かなり血流が悪いと2人の先生からは言われました。あとこの数値はやはり将来血栓症など全身に関わるくらいの数値なのでしょうか。自分でも結果にかなり落ちこみました。

 

A 数値で引っかかった項目と言っておりますが、本当にひっかかった項目は赤字の部分だけです。プロテインS活性は、着床期か妊娠にかけて20〜30ポイント減少しますので、59%でも極めて重要です。一方、第12因子は妊娠中は増加しますので問題になりません。また、aPS/PT-IgMはかなり高い数値です。aPS/PTはループスアンチコアグラント(LA)と道義の抗体であり、病原性に関してはお墨付きです。私なら、間違いなくヘパリン使用をお勧め致します。しかし、これはあくまでも妊娠を目指した場合のことであり、日常生活は普通で構いませんし、将来の血栓症を予測するものでもありません。