最近読んでよかった本 その22 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった3冊を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

 

 

「禁断の魔術」東野圭吾

東野圭吾作品「容疑者Xの献身」で有名になった帝都大学物理学科准教授湯川が主役の作品。湯川の教え子、古芝伸吾の姉が亡くなる。伸吾はやむなく大学を中退し、町工場で働くことになる。そんな折に、代議士の大賀を追っていたフリーライター長岡が殺される。実は、伸吾の姉は大賀付きの新聞記者だったのだ。大賀は、地元の田舎にスーパーテクノポリスという最先端の科学技術施設の誘致を積極的に行っていた。自然保護団体などの反対派も不穏な動きをしている。伸吾は行方不明になり、立て続けに不審な爆発が起こる。伸吾の姉は何故死んだのか?長岡殺しの犯人は?伸吾の狙いは?真相に気づいた湯川が動き犯人を説得する。犯人は驚きの殺人マシーンを作り上げていた。

 

 

「さよならドビュッシー」中山七里

ピアニストを目指し音楽の高校に特待生で入学した遥。入学直前に火事に巻きこまれ、祖父と従姉妹を亡くす。遥は九死に一生を得るが、全身大やけどで移植した皮膚が思いどおりに動かないため、なかなかピアノが弾けない。しかし、イケメンの音大講師がマンツーマンでピアノを教えると、驚異的なスピードで回復する。一方、遥の周りでは次々と身内が亡くなり、警察も動き出す。事故なのか、殺人なのか。コンクール優勝を目指し猛練習する遥と疑心暗鬼な家族が織りなす巧妙なストーリー。果たしてコンクールの結末は?犯人は誰なのか?「2009年第8回このミステリーがすごい」大賞受賞作です。中山七里は同年に二つの作品を応募し最終選考にふたつともノミネートされました。そのもう一つが、今回ご紹介している「連続殺人鬼カエル男」です。どちらも素晴らしく甲乙つけがたい作品です。

 

 

「連続殺人鬼カエル男」中山七里

読むもおぞましい凶悪な連続殺人事件。事件現場には、まるで小学生が書いたようなつたない犯行声明文が残されていた。犯人の目的は一体何なのか?精神的に問題のある者の仕業なのか?警察が翻弄されるうちに第3の殺人まであっと言う間に行われる。この3つの殺人事件の共通点が明らかになった時点で、市民は恐怖のどん底につき落とされる。警察の信用が問われ、厳重な警戒の中、第4の殺人が行われた。警察の信用は全くなくなったが、物語は急展開を遂げ、犯人との死闘が繰り広げられる。果たして真犯人は誰なのか?最も怪しい者なのか?どんでん返しが数回繰り広げられる結末に皆驚くはず。最後は真犯人すら思いもよらない結末に。描写がリアルすぎて、幾分引いてしまうところがありますが、ストーリーは練りに練っており、中山七里らしい極めて面白い作品です。今年読んだ本のベスト3に入る作品です。