短期集中型の減量作戦の効果 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、短期集中型の減量作戦の効果を検討したパイロットスタディーです。

 

Fertil Steril 2016; 106: 1212(米国)

要約:BMI 35〜45の無排卵の女性14名を対象に(他に不妊原因がないと考えられる方のみ)、ランダム短期集中型の減量群(12週間1日800カロリー後、4週間1日1200カロリー)と通常減量群16週間1日1200カロリー)の2群に分けました。有意差のみられた項目は下記の通り。

 

       短期集中型の減量群   通常減量群

体重        -14kg       -5kg

BMI         -5         -2

HOMA-IR      -3         +1

 

また、排卵や妊娠に関しては、下記の通り。

 

             短期集中型の減量群   通常減量群

                6名         5名

投薬なしでLHサージ       3名         1名

投薬ありで排卵までの周期   1周期        3周期

妊娠              3名         0名

出産              3名         0名

 

解説:米国では肥満女性は34%にも及び、17%はBMI 35〜40、8%はBMI >40となっており、健康にも妊娠にも悪影響であり、大きな社会問題となっています。しかし「ただ痩せましょう」といっても、そう簡単ではありません。本論文は、短期集中型の減量作戦が有効であることを示したパイロットスタディーです。ドロップアウトされた方もおられ症例数は少ないため、大規模な前方視的検討が必要です。BMI>35の方が12週間1日800カロリーで過ごすのはかなりきついと思いますが、短期間にできる減量法として期待できそうです。