AMHに影響を与える生活習慣 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、AMHに影響を与える生活習慣として「煙」に焦点を当てたものです。

Fertil Steril 2016; 106: 723(米国)
要約:2003〜2009年に米国とプエルトリコの35〜74歳の女性50,884名NIEHSSスタディーを実施しています。このうち、閉経前で少なくとも片側の卵巣のある913名(35〜54歳)の方を対象に、タバコ、マリファナ、室内の暖房および調理器具とAMHとの関係を横断調査しました。AMH低下と関連のみられたのは、年に10回以上の暖炉での木材燃焼(AMH36%低下)、人造の薪燃焼(AMH46%低下)、1日20本以上の現在の喫煙者(AMH56%低下)、10年以上の受動喫煙(AMH31%低下)でしたが、マリファナとの関連はありませんでした。

解説:AMHに影響を与える生活習慣として、放射線、タバコ(喫煙者、受動喫煙)、室内でのスプレー缶使用(殺虫剤など)が報告されています。タバコ、マリファナ、室内の燃焼(暖房および調理)はPAH系の大気汚染をもたらします。PAHの一種であるベンゾピレンはマウスのAMH低下を引き起こすことが知られています。このような背景のもとに、本論文の研究が行われました。本論文は、屋内での燃焼、喫煙、受動喫煙がAMH低下に関連することを示しています。煙の中の微粒子(PM2.5なども含む)が作用しているのではないかと考えます。