中東の妊娠治療の特徴 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、中東の妊娠治療の特徴について述べたものです。

Fertil Steril 2016; 106: 259(アラブ首長国連邦)
要約:中東は、その社会文化的背景により、妊娠治療に特徴があります。
1 中東は、親族間の婚姻が20〜50%と世界一高い:親族間の婚姻は女性不妊の頻度が高くなることが統計的に知られています。
2 中東は、ビタミンD欠乏症(< 10 ng/mL)が人口の55〜90%と世界一多い:顔や手足を布で隠さなければならないドレスコードのためです。
3 中東は、女性肥満(BMI >30)が世界一多い(クェートで人口の58%と最多):排卵や卵子に悪影響となります。

解説:このような特殊事情は、現地で生活して初めてわかる情報ですので、論文で示していただけるのは嬉しいですし、驚きです。特に2については、中東は十分すぎるほど日光が強いので、いくら布で覆っていても日光は通過しているのではないかと考えていました。また3も、米国人が最も肥満が多い国と思っていました。日本人の特徴も世界に発信しなければならないと思います。