☆肥満と不妊:米国生殖医学会の公式見解 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

肥満と不妊に関する、米国生殖医学会(ASRM)の公式見解をご紹介いたします。

Fertil Steril 2015; 104: 1116(ASRM)
要約:
1 多くの肥満女性および肥満男性は妊娠可能です。
2 肥満女性は、卵巣機能不全、卵巣刺激への反応不良、卵子の質が低下、子宮内膜の機能低下、出産率低下をもたらします。
3 肥満女性は、妊娠に伴う合併症の頻度が母子ともに増加します。
4 肥満男性は、生殖機能が低下する可能性があります。
5 ライフスタイルの改善が、男女ともにまず取り組むべきことで、その後適切な医療の介入(薬剤や手術)を行います。
6 Bariatric surgery = 肥満症手術(減量手術)は重要な選択肢のひとつですが、胎児への栄養を考慮し、術後1年は妊娠しない期間を設けるべきです。

解説:日本人に肥満(BMI>30)の方は多くありません。せいぜいオーバーウエイト(BMI 25~30)止まりです。したがって、本論文の見解はあまり役立たないかもしれません。一方、外国では年間数十万件の減量手術が実施されています。そこから新たな発見も生まれています。下記の記事を参照してください。
2013.7.9「☆減量手術をするとホルモン値が改善します」