Q&A924 採卵後にチョコレート嚢胞? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 体外受精に挑戦中です。
妊娠を希望して四年間、いろいろな病院に行きましたが、子宮や卵巣の状態は良いと言われてきました。ところが、採卵後一度も診察のないまま1ヶ月後がたち、移植周期にようやく診察をしたところ、3cmほどのチョコレート嚢胞があると告げられました。採卵の時にもチョコレート嚢胞はなかったのですが、たった1ヶ月でこんなにもできるものなのでしょうか。

診察をした先生は、ピルの効きが悪かったせいだとおっしゃっていましたが、採卵後に卵巣が出血してチョコレート嚢胞が出来たりするのでしょうか。急にできたと言われ、移植も中止になり、戸惑ってます。採卵をしたりピルを飲まなければできなかったのでしょうか。

A 採卵後1カ月での出来事でしたら、最も可能性が高いのは、採卵後の卵巣に溜まった血液だと思います。卵巣の中で子宮内膜が剥離し古い血液が溜まったものがチョコレート嚢胞ですが、採卵や排卵後に卵胞内に出血し新しい血液が溜まったものは黄体血腫(あるいは卵胞内出血)と言います。この両者の区別は一回のエコー所見だけでは難しいものです。この先ずっと同じように見えればチョコレート嚢胞であり、縮小してくれば黄体血腫です。ピルの効力とはあまり関係ないのではないかと私は思います。