Q&A819 44歳、採卵15回、移植8回、流産1回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 44歳、2013年から体外受精の治療をしており、採卵は15回、移植も8回程度していますが、なかなか結果が出ません。昨年10月の胚盤胞移植で初めて妊娠したのですが、10週で初期流産してしまいました。

流産前はセロフェン朝晩1錠とゴナプュール150単位を1日おきに注射すると4個から5個採卵出来ていたのですが、流産後の採卵(今年3月、4月、6月)では、同じ誘発方法にもかかわらず、3月には成熟卵1個と未熟卵がとれて3日目胚を一つ凍結出来たものの、4月と6月は一つづつしか採卵出来ず、未熟卵で受精しなかったり分割停止で凍結が出来ません。流産後、右の卵巣に4cmのシストが出来てしまっていて、担当医はそれが原因で主席卵胞にアプローチ出来ないので、腹腔鏡手術をすすめます。ですが、年齢的にもかなりギリギリのタイミングですし、腹腔鏡手術で卵巣機能が低下することも心配です。同時に採卵が上手くいかない状況では治療を続けても意味がないのではないかと不安です。また、シストがある状態で卵巣刺激を続けることが良いことなのかも、不安があります。

松林先生は手術すべきと思われますか。ちなみに、FSHは高い時は19くらいになってしまうため、採卵前は前周期の高温期からエストラーナテープを貼っていて、D3では7-9くらいの値です。

A 私なら、腹腔鏡手術はしません。しかし、シスト(嚢腫)があると、他の卵胞発育を物理的に妨害してしまうため、シストがある場合は、吸引してから採卵周期の刺激を開始します。

なお、FSHが20未満であれば、いつもの刺激が可能ですので、必ずしもエストラーナテープを使う必要はないでしょう。

また、流産後に、身体の状態が大きく変わってしまうことがあります。このため、流産前後で全く異なる反応を示す場合があります。この原因は明らかではありあません。