Q&A803 35歳、化学流産2回、流産1回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2014.11.6「Q&A504 34歳、AMH 4.6、採卵5回、移植7回」でご回答いただきました。
あの後、35歳を迎えまして、再度採卵をアンタゴニスト法で行いました。卵子活性化も行い13個中11個が授精し、5日目に4BB胚盤胞が3つ、4BC胚盤胞がひとつできたので、シート法で2個移植を行いました。4BBふたつ移植のときに、ひとつが着床しましたが、胎嚢確認後、心拍確認できず流産となりました。4BB、4BC2個も同様にシート法の後に移植しましたがこちらは陰性でした。すべてアシステッドハッチングありです。不育症は専門医で別に検査を受け、ループスアンチコアグラントの軽度異常のみで、バイアスピリン内服を移植時から16週まで行うように指示があったのでそちらも併用していました(それ以上の治療は必要なしとのことでした)。
残りは6日目4BBが2つです。子宮内膜スクラッチングは、着床歴があるので、意味がないと主治医はお考えにようです。松林先生は、以前ほかのかたのQ&Aで、一回でも妊娠歴がある人には十分チャンスがあるとおっしゃっておられました。また、様々な方法を取り入れることを指示なさっていました。私の場合はどうなのでしょうか。一回の着床を信じて続けていけば、いつか赤ちゃんが抱けるのでしょうか。主治医は移植20回まではやる価値があるとおっしゃい、セカンドオピニオンの医師は、8回ほどで頭打ちになるから、あと1~2回で治療終了を考えたほうがいいとおっしゃっていました。松林先生はどのようなご意見でしょうか。顕微授精開始は33歳だったのに、もう少しで36歳です。日々悲しみが増しています。

A これまで、化学流産2回、流産1回がありますので、十分チャンスはあります。
まず、ループスアンチコアグラントの軽度異常のみでも、ヘパリンの使用をお勧め致します。ヘパリンには着床促進作用があるからです。妊娠が成立した時と同じ方法でトライすることをお勧めいたします。なお、バイアスピリンは妊娠28週まで使用するのが望ましいと思います。

着床歴がある方でも、スクラッチングは意味がある治療だと思います。なお、35歳で何回移植すればよいかについては、合計20個の胚移植で頭打ちになり、累積妊娠率は80%という報告があります。8回という論文を私は存じません。

慢性子宮内膜炎の検査と銅亜鉛検査も行なってみるのがよいでしょう。